短いのはお好き?
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ディスリンボ、ポヤティンポ、ホテランカ、チセランキ、ネルトーネ、アヤポンチ、ケネラーイャ、ニャカニャンネーネ、ピコポンポンピー、ティポリンリンガ、ネママンネーネサ、ヘセラピ、ケセラピ、ピプランキッサ、アーウー、アーアーウー…………
以上、これはほんの出だしなのでちゅが、これがいわゆるひとつのグーを呼び出ちゅ呪文なのでちゅう。 グーとは、私たちの遠い遠いご先祖さまの時代から、私たちンッフッフ族の天敵であるペッロッペッロッペーダの唯一恐れている獣神なのでちゅ。私たちンッフッフ族は、それ故グーを崇め、グーの機嫌を損ねぬよう常に貢ぎ物をたくさん用意して、ペッロッペッロッペーダをやっつけてくれるよう祈願するのでちゅ。 もし、グーがいなかったならば、我々ンッフッフ族は、とうに絶滅していたことでちょう。それほど私たちは弱く、またペッロッペッロッペーダは破壊的に強かったのでちゅ。 だから、グーを呼ぶときにお供えする何十本もの人柱は、仕方のないことなのでちゅ。 そうなのでちゅ。貢ぎ物とは、グーに捧げる貢ぎ物とは人柱なのでちゅ。
もうおわかりかと思うのでちゅが、ご覧のとおり私たちンッフッフ族とは、赤ん坊の一族なのでちゅ。 そんなわけで、私たちの必需品とは、よだれかけと、おしゃぶり、そしてムーニーマンなのでちゅが、成人しても外見は赤ん坊のままなのでちゅので、ンッフッフ族のママが、赤ちゃんをベビー・カーに乗せてお散歩してても、どっちがほんとの赤ちゃんなのか見極めるのはちょっと難しいのでちゅね。(てか、ぜってぇベビー・カー押してるのがママだべ?) 話しは逸れましたが、ペッロッペッロッペーダは、それはそれは恐ろしい奴なのでちゅ。名前からも連想できるように、奴は、舌べろの化け物なのでちゅよ。私たちが寝静まった丑三つどきに奴は海から這い出てきて、眠っている私たちの顔をその大きな舌べろでペロッとやるのでちゅ。その気持ちの悪いことといったらありまちぇん。 私も一度ペロッとやられて命からがら逃げたのでちゅ。でも、可哀想に私の愛娘メッグメグは、食われてしまったのでちゅ。ほんとうにあのときの事を思い出ちゅと涙がとまりまちぇん。私と妻の眼の前で、メッグメグはペロッとひと呑みにされてしまったのでちゅ。
で、今回なにゆえ、あなた様の助けを求めに参ったかと申しまちゅと、頼みの綱のグーがまったく役に立たなくなってしまったのでちゅ。 グーは無類の酒好きなので、私たちはグーに貢ぎ物をする際には人柱のほかに一斗樽を沢山用意するのでちゅけれど、このごろグーのやつ急に酒が弱くなったのか、全部飲みほしてしまうとやおら高いびき、まさしくグーグーとすぐさま眠ってしまうのでちゅ。 そうなってしまったら、グーはもう役に立ちまちぇん。グーは物忘れが激しく一度寝てしまったら自分がなんで呼び出されたのか、まるっきり忘れてしまうのでちゅ。これには、さすがに私たちも困り果てました。 そこで、私たちは一斗樽の数を減らしてみたのですが、逆に怒りだして暴れまわる始末でちゅ。グーがほんとに怒りだしたらもう手をつけれません。なんせ、あのペッロッペッロッペーダをやっつけてしまうほど強いのでちゅから。 いわゆる両刃の剣とでも言うんでちょうね。 そこでご相談なのですが、グーの酷い物忘れを治せるようなお薬はないでちょうか?
わしは唸った。 「う〜ん。ないでもないが。もそっとそのグーとやらのことを聞かせてくれんかの。そいつはいつもきまった頃に現われるのかの?」 「はい。春に一回。秋に一回。それはご先祖さまの時代からずっとそうであったようでちゅ」 「なるほど。では、その時期が来たらグーにお供え物をするのかの?」 「いえ。さきほど申し上げましたとおり、グーは物忘れが酷いので、さきにお供え物をいくらしてもすぐ忘れてしまうのでちゅ。だから、人柱を立てるのは、グーが、いや、ペッロッペッロッペーダが村を襲った次の晩なのでちゅ。奴はかならず二日続けて現われるのでちゅ」 「なるほどなるほど。して、グーはどのようにしてそやつを退治するのかの?」 「それは……私たちも知らないのでちゅ。でも、とにかくグーにお供え物をすると次の晩からペッロッペッロッペーダはもう現われないのでちゅ。きっと、グーの法力でやられてしまうのでちょう。私たちはそう推測していまちゅ。 「そうか、法力か。して、そのグーはどのような格好をしているのかの?」 「はい、文字通り、グー。つまり手のひらを握ったような姿形をしておりまちゅ」 「ほう。グーの形とな。面白いのう。では、グーに負けるペッロッペッロッペーダは、さしずめチョキじゃな。ワッハッハッ」 「ご冗談はおやめ下ちゃいませ。で、お薬はいただけますのでちょうか?」 「まあ、それはやらんでもないが……」 「…………」 「なに、ちと腑に落ちんことがあっての」 「と、もうしまちゅと……」 「いやな。そのペッロッペッロッペーダとやらは、舌べろの化け物ということだがの。その姿はまるっきり舌べろだけなのかの」 「いえ。畳一畳ほどもある大きな舌べろが、その倍くらいある手の平からペロンと垂れ下がった格好をしておりまちゅ」
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