短いのはお好き?
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「さあ、みなさん。それでははじめましょう」という薫ママの声でみんなはフロアに半円形に突き出した、ステージの前に陣取った。 すると、ほの暗いステージの下手から源さんに手を軽く添えて、純白のウェディング・ドレス……ただし、膝上ミニスカ……に身を包んだポンさんが、しゃなりしゃなりと内股でステージ中央へと進み出てくる。 ピンスポに浮かぶウェディング・ドレスは、たとえようもなく清純でその数えきれぬほどの細かいフリルは、まばゆいばかりに光り輝いている。 先ず、麗子がステージに向け、大声を張り上げた。 「おら、じじぃ! いつまで気取ってんだよ、ショーは始まってんだ。早く告れよ!」 ポンさんは、その声にフリルを小刻みに震わせながら、はや涙目になっている様子。 「泣いたって許してやんねぇぞ。早くしろハゲ!」と、これは麗子の横に座っている南の声。 ポンさんは、おろおろしていながらも、半ば陶然として遠くを見つめるような目をして、口を酸欠のカバのようにぱくぱく開閉させた。
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