短いのはお好き? DiaryINDEX|past|will
それにしても。 茂助(もすけ)との出会いは衝撃的だった。 ぼくはちょうどその時、『モアイ像の上』でという変な設定で人と待ち合わせしていたのですが、約束の時間を1時間超過したら超過料金が発生しますって、お花屋さんの売り子に云われてしまった。 だから仕方なくって、steve reich の『violin phase』を聴いた。 約束の時刻を1時間も過ぎても、ぜんぜんその人物が現われず、もうブチ切れる寸前に道を尋ねてきたのが茂助というわけだ。 カトレアという超でっかい喫茶店に入って『シテール島への船出』は眠くって死にそうだったとか、『ベニスに死す』のおじさまには申し訳ないけれども、ちょっと感情移入出来なかったとか初対面であるにもかかわらず、ぼくらはベシャリまくったのだった。 でも、やがて微妙に会話がズレはじめたのだ。 これは、もうやたらスリリングな体験だった。 なんかの拍子でズレが生じたのだけれど、そのズレが徐徐に振幅を増して支離滅裂で滅茶苦茶にアウトしまくって瓦解してゆくというのではないのだ。 此岸と彼岸。つかず離れずある一定の距離を保ちながら会話はなんとか成り立っていくのだからたまらない。 ほんとうに頭がくらくらした…。
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