短いのはお好き? DiaryINDEX|past|will
「もうこんな時間になっちゃたねぇ」 いきなり、そう云われてびっくりした。 振り向くと、久々に小森くん登場! ぼくは、マコちゃんとアツヒコと待ち合わせしてたんだけど…急にアツヒコが残業で来れないってメールが入って。 あ、花火大会ね。 マコちゃんがどんな浴衣着てくるのか、ほんとすっごく愉しみだったのになぁ、ちぇっ。 「そういえばさ、浴衣で思い出したけど例の全然リアル感の欠如してるタッキーの出てるドラマあるっしょ? まずさ、キョンてなによ、サイテーじゃん。いや、タッキーはサイコーすよ。ホン書いてる奴がなに考えてんだコイツと思わせるんだよな…」 ↑って、云ったのは小森くんね。 「え〜! なんで? おれ今さ、声に出して云ってなかったはずなんだけど? もしかして人の心を読めるの?」 すると、小森くんはどんなもんだいってな感じでハンチングを目深に被りなおすと、 「ま、ね。おれ、ほらヨガマスターだからさ、なんでもわかっちゃうってえーの」 「そうか、そうだったね。久々の登場だからすっかりそんなこと忘れてたよ」 「で。なにさ? 今夜はやっぱ花火観にきたの?」 小森くんは、そんなのきまってんじゃん…みたいな顔をして、チビたタバコを、もの凄く重たそうな、これぞまさしくへヴィー・デューティのキワミってな感じのブーツの底でもみ消してから、携帯簡易灰皿のなかに入れた。 なんだよ、それ持ってんならわざわざ靴底で消す必要ないじゃん、なんて無粋なことぼくは云わない。 小森くんには小森くんなりの美学があるんだ。 「よし。じゃ、今夜はどうしよっか?」と小森くん。 「勿体つけてないで早くいえよ」 小森くんは、なにも言わずに上を指差した。 ぼくらは、ランドマークとクイーンズ・スクエアのあいだにある素敵なモニュメント? に登りはじめた。 まさか、こんなのに登るはめになるとは…。 地上は花火の見物客で芋を洗う状態で移動もままならない。ぼくらは、そこからいとも簡単に抜け出した。 空気が徐徐に澄んでゆく。浜風が心地よく頬をなぶってゆく。 誰かが気がついた。通報される前に登りきらないと…。 てか、ここはオマワリばっかっじゃん! 数人の警官が登ってき始めた。 早くも頂上に辿りついた小森くんは、こっちだと手招きする。 ぼくが、やっとチューブを通り抜け小森くんの横に顔を出したとき、 ちょうど花火がはじまった! ドーン!! ぼくらは、一斉に声を張り上げる。 「たまや〜!」 「かぎや〜!」
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