「……………今日も来ない…」 彼は今日も来ない。 そんな事は多忙な彼の事だから、いつもの事ではあるが、 やはり気に食わない。 「………はー…」 溜め息をつくと、向い合っていた遊戯が心配そうにこちらを覗き込んでいた。 「城之内君?」 「ん・…何だ?」 はっ、と気づいたような顔をすると、横から本田が口を挟んでくる。 「おいおい城之内、聞いて無かったのかよ」 「わりィわりィ;ちょっとボーっとしててな」 「…具合でも悪いの?それなら保健室いきなよ。」 友人達もいるし、楽しいし、こんなのはいつもの事だけど、なんだかんだ言ってもう一ヶ月は会ってない。 (……恋人だってのに…信じらんねー…) 溜め息は深くなる一方。 「…んー………俺午後の授業でねぇことにするよ。…保健室で寝る」 「え・大丈夫?」 「何でもねーよ。眠いだけ。…保健室で休むなら怒られねぇだろ?」 笑顔で、その場を立ち去る。 ピシャリ、と教室の扉を閉めた。 とたん、まだ昼休みで騒がしい教室が急に遠くなった気がしたが、気にせず保健室へと向かった。 「せんせー…具合悪いんでやすんでいいっすかー?」 ―…返事は、ない。 いつもなら理解のある保健医の「またサボリか、まぁ寝る子は育つって言うしいねぇ…」といったような返事が帰ってくるんだが。 「あれ…いねーのかな…?」 とりあえず勝手に保健室へと入り、カーテンで仕切られたベッドに体を預けようとカーテンを勢い良く開く。シャッ、と綺麗な音を立てて開いたカーテンの中にはベッドの上で眠る海馬の姿があった。 「…………え……………」 一ヶ月振り。 懐かしい、けど何も変わっていなそうな姿。 (…相変わらず綺麗だなー…) ついついそのまま見とれてしまう。 白い制服に負けず劣らず血色は良くとも白い肌。 さらさらしてそうな茶色の髪の毛。 「………………でも何でだろ…」 (倒れた、とかなのかな……こいつの事だから、過労とかで…) 死んだように静まり返っていて、何だか怖くなった。 そして、彼が生きているのを確かめるように近付いて、そっとベッドの側にひざを立てて座り込む。 規則正しく呼吸しているのがわかって、なんだかほっとした。 「…海馬……」 衝動的に、しかし彼を起こさぬように、そっと唇を重ねた。 そして唇を離すのと共に、目の前の彼がゆっくりと目を開く。 「……………ッ!何をしている凡骨…!」 「あ・わりィ…つい…」 「…ッどけ!…まったくお前は…何を考えているんだ…!」 目を覚ますと、いつものようにこちらを睨み付けて、強く言葉を発する。 「…野蛮人め……というか何故お前がここにいるんだ。折角お前でも学校に来れるんだからすこしでも賢くなる為に授業は受けるべきでは無いのか?」 ……せっかく外見が綺麗でも中身がこれじゃあ幻滅かも知れない。 いいなぁー…城海。 怪傑蒸気探偵団とかも書いてみたいと思う今日この頃。 麻宮騎亜大好き。 いいなぁー理想だなー…うん。
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