恋文
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半袖の腕にふれる風 わたしのいない間に ここは、もう秋になっていた
いるけどいない もう、ずっと留守だったのかもしれない
でも、明日からは 本当に留守にします
では、一週間後に帰るまで
わたしの中の女の子 いつでもいるのに いつも確認しないではいられない
わたしの中の男の子 それがわたしのもともとだから
あなたといるとき わたしは、ずっと女だった それ以外ではなかった
あなたと離れて わたしは でも、やっぱり女なんだ と、思う
それは、きっと変わらなかった もっと
いえ
そうではなく
そのままの
いつまでも辿りつけない どこに辿りついたらいいのだろうか 一日の思いを反芻しながら 髪を梳いている
鏡の中のわたしにつぶやく 「変わってしまえればいいのに」
すっぽりと 抜け殻を残して どこかに いなくなってしまおう
きっと 魂だけで いようか
でも抜け殻も 涙を流すのだろう
拾うこともできないくらい わたしは砕け散ってしまった
きっと欠けた破片は いつまでも見つからないのだろう
欠けてしまったわたしが わたしなんだ
もう、いない いなくてもいいなら
どこにも 隠れるところもないなら そのままで いないのだ
あなたからずっと遠ざかって もう忘れてしまった頃に ふと、あの暖かさを思い出す
今日は、少し寒かったのだ
不安をなだめながら 今日も終る
不安と不安の合間の 穏やかな瞬間にだけ わたしは潜んでいられる
気に入らないことがあると怒ったり 思う通りにいかないと泣いたり ただの だだっこ
それを他人に言うことはできないね わたし
いつも何も変わらないなら 安心もしていられる
明日のことはわからない いつも不安を抱えて
けれども つかの間の安心もここちいい
パタンと感情が裏向いてしまうと もう前を見ることができなくなってしまう
自分すら裏切るような言葉に わたしも痛い そんな言葉は つかえてしまうのだ
わたしを失う わたしの陰に わたしを探す わたしが隠れる
今日、分かれた人は手を振った
わたしは手を振りながら 悲しかった
これが、わたしの恋文
自分の匂いに驚く これはわたしのではなかった
少し官能的なこの匂いは わたしのパートナーのものだった
いつかわたしも 同じ匂いをまとっていたのか
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