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どんなことが あったかな
思い出している けど
あなたが いま ここに いることより ほかに
なにもないね
2006年01月30日(月) |
遠ざかったり 近づいたり |
長い間 逢っていなかった そのことも
なにもなかったように まだ 出会える
いまも こんなに 遠いのに なおも
あなたを かたわらに ふれるように
おもう
歩いている 雪みちは ざくざくと くずれる
もうすぐ きえてしまいそうな あおい空のした
森の木々は ただ 黒いのだった
むこうの丘は まっしろだった
むこうの丘の もっと 遠くを 見ながら 歩いている
あなたが 眠っている
眠っている あなたを 見ている
わたしも 眠ってしまおう
おなじ うたを 聴いていよう
あなたを かたわらに 感じるように
まだ明けない空に とつぜん生まれたように 雪は舞い降りてくる
あなたの街で 降った雪を あなたは見ていただろう
同じ雪を 見るように くらい空を仰ぐ
わたしたちは わたしたちの ことばの なかにいる
あなたが ことばを だせるように
わたしも ことばの なかにいる
こうやって 抱きあって 溶けあって いるのに
あぁ ざわざわと なんて 人は通るのか
わたしたち ふたりだけに なっているのに
まだ明けやらない くらい ベッドの上だった
くるん と 自分を抱いていたかった
いつか 汗ばんでいて
手脚が 冷たくなっている
きっと もう 夢から 覚めないだろう
たどりつけない そこに 歩いていると しても
もどらない
ひとつ また ひとつ
そのときを とどめて いたのに
おもうたびに ここに あるものは
とても とおいのだ
うなじに 髪をまとめる そのとき おもいだす
あなたの 髪にふれた ゆびさき
思いわずらわない なんていうことは 永遠にないだろう
雨にぬれた 道を歩きながら 寒さに すくんでいる
あなたが まどろむ姿を おもう
寄り添って おなじ夢を みようか
雨になって すこし 寒さがゆるんだ
あなたの 街は どんなだろう
窓から なにが 見えるかしら
毎朝 まっしろになる 夕方にも まだ しろい
そのまま 毎日 まっしろで
いつか 雪のように なってしまった
おかえりなさい と 言えて よかった
ずっと ここに いてね
流れて きたから
うけとっている
あなたが もう いないような 気がした
どこも まっくらで
とおくの 音を さぐっていた
つないだ 手は
まだ つながっていると
風が 吹いていた その街を
まだ 見えるように みている
あのときの あなたの かおりを いま わたしも まとう
まだ あなたと いっしょに いるように
いまも 聴いている あなたの 声は
わたしが 持って来てしまったのね
いま 思ったら そのまま 伝わったら いいのにね
あの 柱の陰で いまも 抱き合って いたかった
あなたの かたちに なりたい
あなたが おもうこと おなじように
あなたの しるしは あるのに
まだ とおいよ
もう 一日 あなたに 逢うことに していたら よかったのかも しれない
そのとき 違った時間が 動いていたかも しれない
もどすことのできない そのことを 思うたびに
わたしの ちいさな迷いを 後悔する
待っていると ずっと遠い その日
もう 来ないような 気がして
でも 待っている
そのときに 見失った
それが 予兆だったのだと
どうして 気づかなかったのだろう
とても とても 遠いところの あなたを
いま おもいやるばかり
あなたは それを わたしの代わりに大切にしてね と 言ったのだった
金色の小さなペンダントは いつも わたしの胸にある
それは でも あなたの代わりではなくて
今の あなたに 思いを馳せるために ある
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