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時とともに 失われ 損なわれて ゆくのだ
明日も また
引き込まれるような 浅い夢の 繰り返し
この世ではない どこかの 世界みたい
どこに ゆこうか
繰り返している つぶやき
怖い夢の ように
もう 何度も 覚めることが できない
あぁ ここから 解き放たれないと かこつけれど
解かれて しまえば さて どこに 行けばよいのか
ふいに 香る 花は もう 凍えないだろうか
そこには 違った風が 吹いている だろうか
そこにも 雨を 運んでくる だろうか
いまだに 凍るような 雨を
夢のなかで 迷う すっかり 暮れてしまい
失った道は ずっと 夢のなか
霧のなか 手のとどく ところだけの 世界は 夢のなか みたい
ただの 切れ端の よう
おとは とおくから きこえている
ひかりは ほのかに はいってくるから
へやの はしっこ
ねむって しまいいそうに
ここちいい
ちいさな 糧を ついばむ
小鳥でいたい
少し 明るくなった 朝の空
まだ 花の匂いも ないけれど
ずっと ずっと 雨が降る
緑は すっかり 重くなって
歩くわたしの 傘の中にも 入りこむ
思い出すのも 雨ばかり
眠っているあいだに 過ぎてしまうなら それは 知らない
風の音を 聴きながら もう 知らないままに いる
かたちに なる前に うしなった
幾度でも 失った
雨が 流していった
幾本もの 轍のように
水の行方に わたしも 歩く
どうして わたしを 信じていられるのだろう
いつも 揺れるのに
夢のあわいを 往き来して
だれにも 逢えない
浮遊する と いえば なにかしら 響きはいいが
さながら 塵芥のようではないか
ばたばた 手足を動かしてみれば
少しは 思った方向に 流れてゆくだろうか
きっと わずかづつ 変わってゆくのだろう
いつか 知るようになる
遠くの ように
音が 聞こえて 気づく
一日は もうすぐ 終わろうと している
足音が 聞こえなくても
待っていよう
あなたと すこし あゆみが ちがう
知っている ひとだけで
わたしを 葬ってくださいね
眠りの まえ 眠りの
なかにさえ 恥らう
じぶんを みつける
朝まで 遠くはない
朝から まだ 遠い
どこかで 見つかるのを 待っている
わたしは かくれんぼうの鬼
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