恋文
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今朝は きれいな 青空でした
歩くと ひんやりと 風があたります
見慣れた 景色だけれど
なんだか どこかとおくに 来たみたい
自分の体温と 馴染んでゆく
目を閉じて 暗闇と 馴染んでゆく
するすると 落ちてゆく 内へ と
水のなかに 漂っているように 運ばれて
夢のなかに なにを 残してきただろう
誰も座らない 椅子は 草のなかに 濡れる
みどりの草と 赤い花が いっしょに 濡れる
いちにちが はじまる
なにも かわらない
いつまでも つづきそうな 気がする
歩く 歩く
赤い実が なっている ピラカンサの枝がある むくげの 遅い花が咲いている
林を 通り抜ける 緑の 木陰
川に出会い 透きとおった 流れ
苔に覆われた 倒木をまたぎ 水に運ばれてきたばかりの 砂地を行く
どこにも たどり着かない
歩いている
髪を解くと
肩にかかり
わたしに 戻る
白い花が 咲いていた
緑のあいだ 小さな赤い実
ひんやりと 朝の陰に
ほんのり 灯る
ふと 目眩のような気がして
目の前を 大きなトラックが 走り抜けていった
一瞬に 轢き潰されてしまうだろう と 想像してみた
なんにも起こらなかった ひんやりする 朝の空気のなか
まっすぐ歩いている
どこでもない ところ
いつでもない 時間
そこに佇んでいる と 考えてみようか
いつでも どこにでも 行けるのか
いつまでも どこにも 行けないのか
わからない
音もなく 降る雨は
息のなかに しみこんで
からだが しっとり 重くなる
そとも うちも ひっそりとなる
すずめが降りてきて 啄ばんでいる 緑の草原
雲に覆われている 空
一日が ゆっくり過ぎてゆく
解けない気持ちも そのままに
髪が 結ぼれてしまい
揉んだりして じわじわ 解きたいので
目が まっすぐに なる
やってたけれど もう やだ
結び目の 先っちょ
ぷっつん と 切ってしまった
枝が揺れているから 夕日が きらきら 光る
遠くの空は とても 遠い
なんにも 聞こえなくていい
なんにも 見えなくていい
遠くは 遠いままで
なつかしい
行き詰ったり 困ったり すると
いつも 髪をいじってしまう
それとも 鏡の前で 梳いている
永遠に たどり着けないところを
知っている
その青空を 想ってみる
空は 木々のうえに とても 高いだろう
ここからも 見えるように
どの一日も ただひとつの 夏の日だった
唐突に 思い出す くっきりと 静かな影
どこにも たどり着かない 考えは
暗がりのなかに 広がって
どこにも 消えてゆきもしない
日本のニュースでは 真夏日を伝えている そのあいだ
夏でないような 夏が過ぎてゆき
ふと 去年を思い出す
洗い物を するあいだ
排水口を 泡が 塞いでいる
なにか 詰まっているのだろか
と 見ても なにもない
泡も 消えたくない
こんなに 速くて 濁って 見えない
流れる 向こうの
ずっと 向こう
あのときも そのときも
雨の思い出を つないでゆき
今日の 雨の音を聴きながら
どこにでも ゆける
ひっくり返すたび にゃぁー と鳴く
おもちゃが あって
いま ときどき 頭を うごかすと
にゃぁー って 鳴いてるみたい
ピンクより オレンジ
今日のワインは ロゼなのに
薔薇じゃない
風が ざわざわする 音が 聞こえないのに
木々が揺れている
風がとまった 瞬間に 見えた
オレンジの空
2007年08月05日(日) |
きのう、きょう、あした |
そうやって 過ぎてゆくあいだ
わたしがいると おなじように
そこに あなたがいる
いちにちを思う
わたしの
始まりの はじまりは
なんだったのだろう
みんな 違うというけれど
わたしは
草でも 石でも よかった
ジブラルタルの水夫 という 小説を読んでいて 思い出した
ジブラルタルは スペインに あって イギリスである
いつか 国境の長い行列を待つのに 倦んでしまって 帰ってきてしまったのだ
まだ 見ていない ジブラルタルを
また 見てみたいと思う
ふいに 置き去りにされてしまったみたいな 気がした
暖かい 日差しのなかに 鳩が降りてくる
一瞬の翳りのなか
夏の日差しは まざまざと 変容など できないのだと 告げるのだが
肩から 落ちて ひかりに 透けている 髪をみていると
まだ 変ってしまいたいと 思う
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