恋文
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街路を 漂っているように 靄が ゆっくりと 過ぎる
明けきらない 空と おなじ色をして
わたしも 一緒に ぼんやりと 歩いている
------------------------------- 今年の日記は、これでおしまい。 来年お正月明けに帰ってきます。 みなさん、よいお年を。
濡れて ひかる 石畳の小道
街を飾る イルミネーション
家々の窓の あかり
でも 真っ暗の空に 星をみたいと 思った
ときどき 思い浮かべることのある その街角は いつも夜で
どうしても 思い出せない
夢のなかの 町だろうか
雨は しずかに 降っているのに
話し声も 溶けてしまうみたい
雨の 音だけ しみている
舗道に溜まった 雨が揺れる
からだに 染み込んでくるような 風をうけて
うつむいて歩く
影絵のような 木の枝の上のほう
雲がひかっている 空を
風が吹き渡る
変わったり 変わらなかったり する
日が差しているのに 雨が 降りました
わたしは どんなにも 変われないでしょうか
いつも 変わりますね
あれは 雨の音だろうか 風の音だろうか
窓をたたく 雨粒も 風に擦あう 小枝も
少しずつ重いから 少しずつきしむ
音がする
さっきから 雨が降っている
光は にじんでいるけれど
たどって 帰る その先の あかり
夜のふたを あけるみたいに
黒い雲のしたに 朝焼けが のぞいていた
川面が 朱く ひかっている
空と同じ色で 川が流れる
クリスマスの飾りが 風に揺れて
朝と同じ昏さのなか それでも 人々が行き交っている
それも ただ影絵のように
暗い足元に 落ち葉を踏んで
傘をうつ 雨の音を聴きながら歩く
風が木立を 揺らしている
鳥たちは まだ眠っているかしら
あの池の前の 灰色の冬の日も
あの雑踏の暗がりの 雨の夏の日も
全部 そのまま
あなたと 抱き合っていたとき
雨は わたしと おなじ 温度で 降る
濡れていても いい
地面にも ひたひた
おなじように しみこんでいる
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