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2008年01月31日(木) |
ほんとうにはならないこと |
ほんとうには ならないけれど と
思うことを いくつも 連ねてみる
みんな 闇に消えてゆく
磨りガラスの向こうに ぱらぱらと 音がきこえて
雨が 降ってきたのを知る
冷たい風なのに まだ 雪を運んでこない
あなたのところでは もう 雪が降ったのにね
思い出を くりかえしてみると まだ あなたのところにいるみたい
些細なことだけれど いちど こだわって もう 抜け出せなくなる
蜘蛛の巣に 絡まったみたい
じたばたも もう 疲れてしまった
夕焼けが 雲を染めているあいだ
丘の森の木々は 影になっている
もう群青色の空
遠ざけてしまったこと
失うあいだに 知ること
最初から 失われていた わたしは
近くに もっと 見つめていたい
あんまり 明日のことは 考えたくない
ふわふわ このまま
朝は 寒かったね お昼は すこし 暖かくて 夕方は もっと 寒くて
今日は 過ぎていってしまう
ふわふわ してね
あしたは いつも 少し 向こうにある
わたしが もう いないかも しれない
一日が おわる なにか 変わっただろうか
なにも なかったかも しれない
それでも あしたは きっと 違うだろう
カーテンのあわいから 見えるそとが 明るかったから
雪が降っているのだと 思った
ただ 月が 照らしていた
通り過ぎてしまったらいい 見ていなくても 聴いていなくても いい
その瞬間に どこに行ってしまおうか 足元に 影を残して
わずかな 違和感 目眩の ように
曇り空が とても 遠くに見える
柔らかいこと 硬いこと
しっとりと 手に したがって
かたちを 感じている
川の流れと いっしょに 歩いてゆく
泡になり 淀みになって
砂であったり 草の枯れたあとの 湿った土のあいだを たどってゆく
風のおとも 鳥のこえも
いっしょくたになって
ひとりの わたしになる
今年初めての 雪を あなたは見たのでしょうか
眠っているあいだ ひとしきり 降って 翌朝には もう消えていたのでしょうか
この間 夢であなたと逢いましたが 雪は 降っていませんでした
今度 また逢ったら いっしょに 雪を見ましょうか
夜明けの暗闇で 耳をすます
風のおと 雨のおと 遠く かすかに 水の流れるおと
しずかに 繋がる わたし
森の木立の上 消えかかる ひかり
濡れた地面にも ひとしずく 残して
何月を 待とう 何月も 通り過ぎる月ならば
月と おなじに 満ちては 欠けて
いつでも 待っている 何月の月
音は眠りにはいりこむ
いつしか雨になっている
風がわたる 木の枝がたわむ
鳥の声がひびく 木の葉がさわぐ
なんども 思った いつか あなたと 歩きたいと
わたしが なぞる かたち
目を開いていても 閉じていても
まるで 暗闇のなかに たたずんでいる
夢に捉ってしまおうか そのまま 帰ってこない 朝は 来ない
それは 夢なのだと 気づいているのに 目覚めることができない
そうして 覚めたときのことを 考えながら もう一度 夢にかえる
まだ 幾度も 思い浮かべることができる
きっと 遠くはない
あんまり まっすぐ 前ばかり向いても 見通せるわけでもない
それならば 振り返ってみてもいい そこも 遠くに吸い込まれてしまうけれど
濡れた舗道に 街灯の光が落ちる
街角は 暗いままに たたずんでいる
雨のしぶきを 浴びながら
少しづつ すれ違ってしまうような
それでも 馴染んでしまい
灰色の空の下
まだ 彼方を 思い浮かべるだけ
遠い国に 戻った
ひたひた 濡れてゆきます
海へ ゆきたいと 思いました
みんな 濡れてゆきます
なんだ なんだ 灰色じゃないか
空を見ていた
しずかに 空が 降りてきたみたいだ
まだ まだ ずっと ここにいるのだと
包まれていようか
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