恋文
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外には 氷の雨
焦り もがきながら 過ぎてきたとしても
かたちは 同じでは なくなってゆくとしても
まだ あしたに 繋がってゆけると思い
今年最後の この夜を ここにいる
線路のあいだ 霜のおりた草地が 白くひかる
通りの向こうを 透かし見ている
息も白い
遠いところの 生活を思い
見えない場所の 姿を思う
明日のことに似て
誰かが 割った跡も 重なってしまい
ひび割れのまま 固まって
風の模様になる
一日のまんなか
風ばかりです
カラスが 餌をもとめて 跳ねています
猫が道を よぎってゆきました
木の葉が 寄り集まって
わたしは 風のずっと向こうまで 歩いてゆきます
誰もいないかのように 静まりかえっています
煙突から 白い煙がたっていて
誰かが住んでいると わかります
木々はそのまま折れてしまいそうに
凍ってしまいました
わたしが 忘れるように 誰もが わすれる
ふと 思い出すのは 偶然のことなので
思い出は きっと すれ違って ゆくのだろう
それでも いつか また きっと 逢いたいね
どんなにも 特別なことはない けれど
思い出すのは どれも
誰かといっしょにいる 教会のことだったりする
思い出は いつも ほの暗い
霧の先に 歩みいる
出口など いらない
いちにちの はじまりの光が 川面にとどく前に 橋をわたる
濡れた歩道に 街灯のひかりが きれぎれに映る
ただ影ばかりの町に わたしも 影のように はいってゆく
とりたてて 何もない 一日がいい
寒さに すくみながらも 歩き
街角で買った パンが 美味しかった
丘の上に 影のように 木々は立ち
ずっと向こうは まだ 雪で白い
空も灰色だけれど
緩んだ寒さに すこし ゆっくりする
なんの音も 聞こえていないみたい
濡れた歩道に 街灯の明かりが 映り
行き交う人々は ただの影になる
この街角で あなたに 逢いにゆこうか
あなたの夢のなかに たどり着くかもしれない
外がざわざわ不穏な感じがする。 半開きの窓から風がはいってくる。
これはいけないと扉に向かうとそこも半開きになっていて、さらに外の扉も半分開いているのであわててもどってきて窓をあけてみる。 窓際に笹が生えていてだれもいないなとおもったら、笹がまっすぐわたしにむかって伸びてきた。
あ、と叫んで目が覚めた。
雪のしたに 埋もれて 隠れてしまったみたい
かたくなになる
しばらく じっとしている
時計の音は いったりきたりを 繰り返しているみたい
もう どこにも 行かないよ
空も 風も 灰色に 凍っている
雪の残った 丘の上は 霧がかかったように 白い
どこも 凍っている
押し流されるように いずれ
流れてゆく どの先が 見えるともいえない
内からも 流れ出してゆくものは
どこに たどり着くだろう
足元から 崩れる
覚束ない 歩みで
真っ白な 道が
続いている
かつて 確かな どこかに 行こうと 思っただろうか
では どこにでも 漂って
流れてゆくしか ないではないか
空は 灰色のまま
草むらには 霜が まだ白い
この道は どこに 続いているだろう
もう 一年になります この前 切ってから
裸の 背中に ふんわり 触れます
胸にも かかります
耳の後ろで 両側から取って 真ん中で 留めます
残った髪は 背中に
風が 吹いて 流れます
ひかりは 凍ったように くぐもっている
伸びた 木の枝は 触れると 音をたてて 壊れてしまいそう
犬たちは 戯れているけれど
人たちは 身をすくめて 歩いている
どこから始まったとも 言えない
ただ 今も続いている
長いとも 短いとも
どんな尺度でも 言えない
ただ 続いていればいい
風と雨で 木々が揺れる
風のなかで 雨のなかで あなたと 出会っていたとき
思い出して またね という
夢のなかから 流れ出で
影のように 駅に立っている
まだ 始まらない 朝
一日の終わりを カレンダーに 印をつけるような日々
毎日 消えてゆく
空には 昨日 見えなかった 三日月
きょうから あしたへ かわる
降り始めた雨が あしたには 雪になるだろうか
それほどのことしか あしたには 見えないとしても
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