恋文
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考えても しようがないけれど
考えずには いられない
考えるのが めんどうに なってしまうまで
子供の声が 聞こえてくる
暮れかかる 空
夏祭りの 夜も そうだっただろうか
小さな かけらのようになって
思い出す
いちにちが 過ぎて
ぷつりと スィッチを 切るように
夢のなかに もどる
土と草の におい
もう まもなく 暗くなってしまう
雨音が 遠ざかる
ここも ここではない ところも
まっすぐ つながって ゆきますように
緑の 草はら
ぽろり ぽろり 落ちている
眠たいような 花の かたち
移りかわる 緑の景色のなかに
わたしを 置いてみる
とどまって いるだろうか
遠ざかってゆく 景色のなかに
突然の夕立のあと ときおり まだ 小雨がふる
こんなとき 小鳥たちは どこにいるだろう
鳩が 濡れた地面に 降りてきて さまよっている
眠りにつく
明日に 出会うために
明日は なにか 変わっているだろうか
ピンク色の 夾竹桃は
なんだか はかない
照りつける 日差しのなか
昼下がりの 日差し
町は まっしろになる
迷ったみたいに
雨のあとで 川は どんどん 流れてゆく
川原の 草花が すっかり 水のなか
ゆらゆら 揺れている
今年 はじめての すいかを 切る
ほんのり 甘い すこし 青い
いくたびもの 夏を 思う
夢のなかに 降っている
まだ 降り続く 雨のなか
半分だけの こちら側
影に 切り取られたような 光のなかに
鳩が 三羽
一羽が みんな 追い散らすから
ぽつんと 一羽 光のなか
目覚めさせるように 眠らせるように
繰り返し やってくる
熱をはらんだままの 街を抜ける
乾いた通りに ぽつんと しずくが落ちる
気づくと いつか 空が くらい
行きつ戻りつする
見えないままでも
どこかにたどり着くために
進む方向は たぶん 行きたいほうへ
おきざりにできない 不安は いつも わたしの傍に
辿ってきたように まだ 進んでゆく
すこしづつ 怪我もする
どこかしら 危うい
だからといって だめになるわけではない
一病息災と いうのだろう
傘を たたく 音が 大きくなり
夾竹桃の 枝が 揺れる
ぼう と 遠くの景色が けむる
夕立のあと 誰もいない カフェのテラス
テーブルに すずめが やってくる
明け方の雨は やがてあがり
また 夕方の 雨になる
くりかえしの 日々が
どこかに 続いてゆく
雨の音に かさなっていたい
雨の匂いに おなじになって
雨にとけて どこにでも いってみたい
永遠のように 流れてゆく
せせらぎも とぎれなく
緑のしたで 耳をすます
光と 影の あいだ
ゆるやかに ぼんやりと
境も ない
小鳥の声が かまびすしい
木立の くらがりから
一羽 飛び立っていった
迷い込んだ ちょうちょうが ただよう
わずかな 風
鉢植えの花が 透けて
和らいでゆく 夕べの光
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