恋文
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ずっと ずっと 小さくなれば
誰にも 知られないくらいに なれば
わたしだけの 温もりのなかで
ひっそりと 暮らせるだろうか
少しづつの 狂いのなか すごしてゆく
すっかり 狂いを 受けとめて
窓の向こうは ここではない
夢のなかに似て
過ぎてゆく どこか
祭りの喧騒のなかに 消えてゆく 子供たちの姿
そのあいだを 歩いている わたし自身も
夕暮れの色のなかに 消えてしまいそう
夢のなかのように 暖かい
思い出は そこにある
いつでも 帰ってゆける
半分の月が かかる空
時は おのずから 過ぎて
わたしは 後をたどる
落ち葉のなか 歩む
濡れた歩道 曇り空
いくらでも 落ちてくる 木の葉
何の音もしない 道すがら
もうずっと 海を 見ていなかった
今は 灰色の 空のしただろうか
ふとした時に 気づく 心のすきま
いま 木の葉が 落ちていった
ざわざわ 心が さわぐ
厚い雲が 空を 覆い
風が 木の葉を 吹き散らす
雲の切れ目から やっと 射してくる
向こうに 光は あるのだろう
風のなか 歩く
木の葉が きらきら ひかる
夜のなかに います
どこにも 行きません
自分の からだの 暖かさのなかで
眠っています
遠くに 来てしまった
戻れないだろうか
それとも
もっと 遠くに 行けるだろうか
それより
眠りのなかで じっとしていたい
三日月が ひんやり 光っている
朝日が まだ とどかない 空
流れに逆らったり しただろうか
あっちに行き こっちにぶつかり
これからも まだ 流れるままに
この道を 通って
やがて 冬にいたる
その向こうは まだ 遠い
風のおと 雨のおと
色づいた木々が 窓の外で 揺れている
まだ ここにいる 今年の秋
一日が 静かに 過ぎてゆけばいい
鳥のさえずりと 木のざわめき
風が 少しくらい 冷たくても
時間や 空間や なくなって
ねじれてしまう
言葉にしたくても できないような
そんな わたし
まだ いっしょ
毎日 見ていても 変わってゆく
しばらく 見なければ どんなに 違ってしまうのか
なるほど わたしも そうやって 変わってゆく
雨音を 聞いているのがいい
毛布に くるまって 暗い部屋のなか
降り続いている あいだに
流れていってしまえばいい
緑の草は 枯れてしまいました
赤い実は 踏まれてしまいました
空は灰色のままですが
また 朝がきます
くすんだ 朝の町
まだ 夢のなかのよう
いつか 覚めるだろうか
舗道に 影のように 赤い実が 散っている
見上げても 暗い木々
木が揺れる
世界がいっしょに 揺れる
川には 白い波がしら
みんな 流れてゆく
みんな 揺れている
一日の まんなか
川の流れを 見ている
きらきら ひかって
冷たいような 青空
ずっと ここに いたい
終わろうとしている 今日 いちにちの 光
色づいた 木々に ひかる 屋根に しみこんでゆく
もう 影になるまえ
目が眩む 夕日のなかを 帰る
一日は 終わる 明日は 見えない
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