恋文
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変わらないと 思うまに
なにかしら 違ってゆく
息をつく 少しの あいだ
まだ どこかに 知らないことが 起こって
だからといって 変わらない こともあるのよ
ざらざらした 気持ちでいると
みんな 棘のようになる
雨が降って 柔らかくなればいい
川面に 灯りがたゆたう
向こうの橋と 空のあいだ わずかな空の色
もう暮れる
みんな過ぎてゆく
片隅で見送る わたしも 流れる
いつか 雨になる 空の色を見て 頬をなぜる 風のなかを行く
誰もいない みんな 息を潜めているだろうか わたしだけの この道
こんなに雨が降るから 川の流れは溢れるよう
わき目もふらずに 走ってゆく
行く先はずっと向こう 砕けてゆく
なにも特別なことがないのがいい 一日がいつのまにかすぎてゆく
雨が降るのなら 傘のなかにいればいい
あたりまえのように 一日が終わる
窓越しに雨が強くなるのが見える 外に出てみようか
水溜りに 落ちる
雨のしずくが やわらかい
月は 白く滲んでいる
橙色の街灯の下 歩いている
わたしの影の 前になり 後ろになって
ぽつん ぽつん みんな 影のように 立っている
雨粒が 霧のように ひかる
わたしも 影に紛れる
たゆんでも 滞っても
なにも 損なわれない
ただ まだ 行くだけだよ
向こうは 雪に 埋もれて しまったよ
さぁ ぽつん ぽつん
足跡を つけて 行こうかな
むこうに なにが みえるだろうか
なにも みえないのは なにも
みたくないから かもしれない
急ぎ足で 過ぎてゆく
硬くなった 雪が
崩れる かすかな音
時計の短針が 同じところで いったりきたり している
夜が更けてゆく
オレンジ色の 街灯のひかり
雪が ふわふわ 影のように
どこまでも 風のなか
小枝が 震えている
もう枯葉もない
あなたの 吐息に 交わって
あなたと 感応のなかに 漂う
夢が 満ちてくる
夢うつつで 聴く 雨の音
いつでもない どこでもない
たったひとりの わたしのまま
眠っている
空っぽになった ような 気がした
これから 沢山 入ってくる まだ その前
まよいも ためらいも あれば
展望も 期待も あり
いったりきたり しながら
向こうを 見ている
何も 悪くなっていないのに 不安になる
立ち止まる しばらく
まだ 進んでゆける
群青色の空 路面も 同じ色に濡れて
白い息の 向こう側
歩み行けば 融け込めるだろうか
話すことで 確かな気持ちに なれるのなら
話し続けていよう
とどまったままいない
丘に沿って たなびいている 白い息吹
雨が また降るだろう
濡れた落ち葉を 踏みしめて歩く
少し 外れたままで いいかな
今まで やってきたし
今からも きっと
風の音を聞く
観覧車の光が瞬く
風の中にはいる
誰もが影のように過ぎてゆく
時は こんなに 過ぎてしまったね
語る間もなく 消えていった そのことを
もはや なにも 思うまい
まだ 向こうに 続いている
いつか みどりに戻っている
暗い ひかりの下で
向こうに消えてゆく 線路の間
雨のなかを くぐってゆきます
髪も しっとり濡れます
風景も 俯いているようです
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