恋文
DiaryINDEX|past|will
止まっている そのあいだ
少し ひらいた 隙間から
外を 眺めるのが いい
つながりが わたしを 世界に 引き留めておいてくれる
雨のなかに 息をする あいだ ものを思っている
失うような 気がする
それは わたしの 全部ではないのに
きっと
からだが みんな ひっくり返るようだ
夢が あんまり 長く続くと
わたしは どっちに 生きているんだろう
帰りたくなくても 帰ってくる どこか
夢のなかの 夢と
現実のなかの 夢と
出会っている 薄あかりの中
物事は 起こるだろう
そうして 過ぎてゆく
わたしの いないところで
わたしは ただ 知るだろう
ここでの わたしの一歩は
届くだろうか
どこかに まぎれてしまいそうな
わたしは ひとつの 粒になっている
逃げる先が あるのなら
裸足で 駆け出すだろう
きょうも そろりと
一歩を 踏み出す
誰も知らない 時間のなかに 行きたいと 思う
誰も彼も わたしを 忘れてくれるだろう
どこに 行こうかな
我を忘れて そのまま 傷ついてゆく
どこにも たどりつけなかった
眠れないほどの 悪いことは 起こっていない
一日が 終わると
眠りにむかう たのしみ
流されそうになる 一日が過ぎて
じぶんを 引きとどめておく
風がとまっている
みどりの中に 置き去りの ひかり
光は まだ空にとどまっている
ブラインドのすきまから 暮れてゆく
こころは どこかにいる
花の色 花のかおり
ゆっくり 時間がすぎる
このまま 立ち止まっていたい
菜の花と 麦の 海を渡って 空とのあわいを 目指す
近づきながら 遠ざかる
灰色の空 だけれど
緑のなかは 花の香り
降ってもいい
ゆっくり 水の匂いに なろう
夜の時間を 喜ぶ
ほっと 一人でいる
それから 人恋しい
熱のなかにいるとき ふと 正気でない 自分をおもう
失わないこと
みどりが 濡れる
足元から 立ち上がり
頭の上に 降ってくる
雨の かおり
一日の終わり 息を
吸って 吐いて
吸って 吐く
一日の 始まりと 終わりの
形のように
待つのは たのしい
待つのは つらい
振り子のように 揺れて
空の色が かわってゆく
どこにだって さまよえる
とおくに とんでみせる
いつも わたしが いっしょ
誰もが 雨のなか
傘のなかに 顔を隠し
あるいは
傘もなしに 走り去る
みんな 灰色の 影になる
夢は 教えてくれているのだろうか
わたしの かたち わたしの ゆくえ
汗ばんだまま 朝を 迎える
花の重みで 枝がたわむ
風に吹かれて ゆっくりたわむ
たわんだまま 雨のなか
曇り空も そのままでいい
薄暮れの ひかりを
窓から透かす
みどりの匂い 雨の匂い 花の匂い
みんな わたしのなかに しみわたる
音を 聴いている
水に なってしまおう
|