恋文
DiaryINDEX|past|will
日のひかりを 残したまま
夜の空気になる
一日が 過ぎ去ってゆく
ひかりは 有り余っているにちがいない
影と 光と 入り混じるなかを
みずから 影絵になって 歩く
どこにも 到達できない 気がする日にも
空は青い
静かに 過ぎてゆく
ラジオの音も 換気扇の音も
気にならない
外は 光が満ちていて
なにもない と いうことが
そのままの 生活
風が 木々を 揺らしている
ひかりも 揺れている
教会の鐘の音が 聞こえてくる
水面も 揺れる
晴れたら うれしい
晴れたら 明るい
風も やさしい
進んでは 退く
どこにも 真っ直ぐに続く 道などない
髪が ずいぶん 長くなる
時間は 過ぎてゆく
ずっと 曇り空
それでも 少しばかりでもない 光のなか
鳥の声を 聞いている
立ちつくしている 時間は 短いがよかろう
方向が 間違いないのなら
このまま 進む
考えることは 空回りして
知っているけれど 考えてしまい
歩いているうちに どこか 見えるだろうか きっと
雨が降れば 雲のした
まっすぐ 歩く
向こうは 雨のなか
でも まっすぐ 歩く
ずいぶん 自分が 情けなかったりする
けれど 自分に やさしくしてあげよう
会話をしながら 遠ざかってゆく
わたしは わたしを 疎ましいと 思っているだろうか
きっと 埋まらない距離を 推し量る
毎日が 雨になる
雨は どこにでも 降る
窓の外から 途切れた 雨音が
夢のなかに はいる
止まって いいのだろうか
のめるように 前へと 進む
道筋を 見失ったのではないかと 思う
そのまま 歩き続ける
きっと また 見つかるはず
少しの 幸せのなかにいる
その しあわせ
卵の殻のなか みたいに
きっと 光が さしてくる
ふんわり まるくなる
ブラインドから 入ってくる 光や 音
水槽の中の さかなのように
たゆたう
そろそろと 歩む
でも 進む
たどり着く その先は どこだろう
ふと 途方にくれる
歩き始めると 道のりが まだ ずっと続いているのに 気づく
とどまって いられないのは 知っている
ふと 振り返ってみる
まだ 明るい 空のした
風が止んだように 静かになる
一日の終わりを 待つ間
嵐が 去りました
音を立てていた 窓は 濡れたまま
波打っていた 草むらも
いまは 青い匂いばかり
夢の世界は 夢でなくなる
そこに ずっと とどまっていれば
遠いところも それだけではない
求めれば
ふと 落ち着くところ
まだ 雨のなか
鳥の声も どこかに まぎれてしまう
夢を 折りたたむようにして 朝になる
湿った 土の匂いと 草の匂いと
まだ 冷たい ひかりのなか 歩みだす
空は 雲ばかり
少しずつ 暮れてゆく
子供の声が しずかに 響く
|