恋文
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夢は 重苦しかった
わたしは 逃げ続けて
でも 救いはなかった
目覚めて まだ
まだ 逃げようか
ぽろん ぽろん 抱き包まったように 落ちている
陽だまりのなか
突然の 雨の音
水底に 沈むように
窓の外を 見ている
もちろん 時間が 待ってくれるわけではない
手紙を出す 遠い国の
遠い時間
波のように 息をする
漣も 大波も
波のなか
風の音が 部屋のなかに 入ってくる
なにを 揺さぶるのか
槿の花が ふんわり 咲いている
昼下がりは 静か
まぶしい 通りは
だれも いない
わたし わたしのようなもの
わたしの影 影のようなもの
みんな いっしょに 引き連れて
一日 いちにち まだ 歩いてゆく
雨粒が きらきら ひかる
木の陰に まだ 落ちてくる
雨に ぬれる
みんな しんなりする
しずかに うなだれる
立ち止まらない と 思っても 遠い道のり
夏の日が 降り注ぐ
陰のなかにいる わたしは 陰の一部になる
いつも どこか 離されている ような
真昼のとき
むくげの花の 陰を通ります
あじさいの 花びらが 日に透けて
誰もいない 小道が
ただ ただ 真っ白です
沈む
わたしの
なかの なか
ふんわり
また 沈む
陽射しの中 影も明るい
一日は 過ぎてゆく
からだを ゆだねる
夢に溺れて 目を覚ます
うつつにも 溺れそうになっている
それなら ずっと
夢の中に 溺れていたい
いちにちが すり抜けてゆく
熱のなかに 沈む
かたちもない
どこにもいかない 青空のした 影だけ 揺れる
きっと わたしは 失われてしまいたい
そのあとに わたしに 戻れるだろうか
まだ 未明 そのままの
ひかりの中 辿っている
行き先には なにがある
手探りの朝 やってくる
馴染むのは 暑さばかり
肌に 湿るように 汗を
むやみに 明るい空
どこかの 音は どこかに 閉じ込めて
わたしの 音を 聴いている
ここでは ないところで 遊ぶ
ここは ただ ふりそそぐ 日差しばかり
前を 見ていなければ
どこに 流されてしまうだろう
前を 見ていても
どこに たどり着くだろう
風の渡る先を見ても 何もない
花は揺れるばかり 影がおちる
風のなか たたずむ
ひかりが こぼれ落ちる
ゆれる わたし
気持ちは 揺れる
よくも わるくも
いったり きたり
ブラインドの 隙間からは
やさしい ひかりが入ってくる
耳をすますと 音も、どこからも はいってくる
切り離されては いない
外にでる 外は 別の世界のようで
道端に 落ちる 自分の影も いっしょなのに
見えるもの 聞こえるもの
遠くなりそうな
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