恋文
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たゆたう ゆめのなか
悲しいような
けれど 心地いい
とどまって いられたら
いられない
轍を たどるように
ゆくのかも しれない
それは 楽なのだけれど
青空の あいまに
雨が降る
空は 青いばかり
どんなに 夏は 短かったのか
わずかな 名残もない
人々は 夕暮れの 町に集う
はやくも 傾いてゆく 日差し
観覧車が 丘の上に 回っている
透明になる ひかり と
重い空の あいだ
いったりきたり いつも
同じところを
どこにも 同じ時間が 過ぎて
同じ時間を 生きている
一息をする
まだ ゆかなければ
ちいさくなる わたしは
それでいいのかも
削られてゆくのは なにかしら
いずれ なくなってゆく いのちの かけら
料理するって ちょっと 危険な仕事なのよね
不注意で 腕にかぶってしまった 熱湯は
前にフライパンの縁に 触れてしまった 痕をなぞっていった
でも、できあがった ご飯が 美味しかったら それで いいかな と
冷たい水で 流している
浮遊する
空を覆う 雲のしたで
水の流れに 沿って
見上げれば 飛び去る
鳥たち
やがて 失われてゆく 色のあいだを たどる
まだ 光に彩られて
気づくと 雨の音がする
ひっそりと 通り過ぎてゆく
同じ色の 空のした
行きつ 戻りつ
同じ 景色のなか
雨になる
低く歩む
灰色の 町のなか
空にはない
明かりを 探す
どこにも 混沌
どこも 雲の中
ふんわり ただよって
どこかの 青空を 探している
雨の揺りかご
ずっと 揺られていたい
雲のまんなか なにも 見えなくてもいい
積もった 落ち葉のなか
綿毛を 膨らませて 小鳥が 座っている
ざわざわ 風に揺れる 木々の音を 聞きながら
もしも と いう
まだ たくさんの 問いかけが 続くだろう
まだ 明るい日差し
道端の草花が 揺れる
風が冷たくなったとしても
いくどもの 秋が過ぎる
どこでも いつでも
光と風は かわらない
立ち止まっても 誰もいない
川原には 鳥の影だけ
草をわけて 歩き
砂にしゃがんで
光る川面を 見送った
一歩を 踏み出したら
うれしい
まるで こどもの あゆみの ように
進めば 進んだと
おののく わたし
小さな希望と 大きな不安
それでも 前へ
それでも 秋の空
まっすぐな光が どこまでも
足元が おぼつかなくなる
感触は まるで
夢のなかのようだ
音を ひきずって 飛行機が 飛んでいった
空は もう 夜の色
沈むわけでは ない
空は 青いし
暖かい 日差し
まだ いる
いつだって
わたしも
空が 青くて 川は 静かに 流れている
いつから 香りを まとっていないのだろう
気づくと わたしの 自身の
香りに 沈んでいる
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