恋文
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フルーツのお茶 甘酸っぱい
とおい春
重くもない 軽くもない
てのひらに 乗るくらいの
夢をみていたい
静かを 見るあいだに
音だけを 聴いている
寒いから 起きてこない
外の 青空
やりすごす 一日一日
それを 平穏といい
眠れない夜 静かな音で いっぱいになる
惰性であるとは こんなことで
冬の風のように 乾いている
つまりは 逃れたいということ
風景は一面に 凍っているようだ
遠くの空まで 透きとおっている
潮騒のように 聞こえる
雪になる前
夜は ゆっくり 更けてゆく
普通のことは 本当は つらかったり 悲しかったり する
だけど 普通のことだから
地球の 裏側から メールが届く
みんな うまくいっているよ と、返信する
甘さと 苦さ
なにごともなく すぎてゆくは それでいいのだが
いつまで つづくのだろうかと おもう
目覚めて 眠れない夜更け
何も考えまい と するほどに
とりとめもなく あふれる意識
毛布のトンネルに 横たわる
脚はまっすぐ 手は胸元で重ね
体温のなかに しばらくのあいだ
眠りにつく
空の色と 同じような 一日が過ぎる
朝の小さな傷が 黒く かたまって
夕方に ふとしたはずみで 破れる
夜の街にでる
冷気のなか ただよう
縮こまりながら
かんたんに 病むのは
からだより こころかも しれない
気づかないまま
体温との 境界線を 行き来する 朝の夢
足先が 暖まって 眠りにつく
足先の 冷たさで 目覚める
からだは 目覚める前に 冷めるのだろうか
囚われた者のように 見やる ブラインドの隙間
交差点に 車が 通り過ぎてゆく
朝の街を 脚が 身体を 連れてゆく 風の中
野菜を切り 出汁をとる
湯気と いっしょに 温まる
七草を きざむ
ラジオからの 音が
遠くに 聞こえる
いたずらに 過ごす
一日は いつも短い
日が少しづつ 長くなって
空気が少しづつ 冷たくなる
空に 半月
交差点を 枯葉が走ってゆく
赤信号の 待ち時間
列車は 夢の中を 走っている
とても 青い空
妹達とわたしとの共通点
お菓子を食べた後の 包装紙を たたんで、結ぶ
わたしの娘も そうしている
痛みと痛みの あいだ
笛の音を 聴いている
どこにも 冬
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