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街角に 残る雪
同じ白さで 中天にいる 三日月 かすんだ暈
だるい ひだり腕を 連れてゆく
道は 人にあふれて いるけれど
どこにも 音を感じない
まるく 周ってゆく いちにち
水銀灯の光に 深くなる闇夜
風も冷たくなる
死んでゆく 一日を どうやって 迎えようか
そんな歳に なったと、思う
ふんわり 暖かくて 眠っていたい
歩道の 色とりどりの 敷石をたどってゆく
雲のなかを 歩くみたいに 揺らぐ
さらさらと 葉ずれのような 音を聞く
外は 白くけむっている
山なみも 遠くにかすんでいる
暗がりが 少し 濃くなって
灯りも 沈んでゆく
風がゆるむ
それでも まだ灰色の 街角
穏やかな一日には
なすがままに させておこう
考えても どこにもゆかない そんなことは
原因がわからないことは ほんとうに怖い
怖いとおもいながら でも どこかであきらめている
まだ 小さな娘は ミモザの木の下で 笑っていた
外国では 春を迎えるのに ミモザを 投げてくれる
みんな 遠い昔のようだけれど
わたしも ミモザが欲しかった
その名にさえ 懐かしいとおもう
そこには もう いない
その異国
かすかな 声を聞いている 夜更け
知らない たくさんの 暮らし
そのなかの ただの ひとつ
知っていた人たちは 今 なにをしているだろう
毎日は 過ぎて行くばかり
金曜日早退した同僚はインフルエンザだったと判明。 今日もお休み。熱が下がってから3日は会社にでてはいけないと医者に言われたとのこと。 隣に居たから、うつっていないかちょっと心配。多分大丈夫だと思うけれど。
小雨が降り始めたみたいな夜。
台所は いい
ちゃんとした 時間が流れる
なにを どう茹でればいいのか なにを どう炒めればいいのか
ちゃんと時間がある
そのなかで 過ごしていると
自分も ちゃんとしているような気になる
洗い物をしているあいだ 考えている
考えていない
堂々巡り
どこかに行って
どこにも行かない
手繰っても いつか 切れてしまっていて
あるいは
いつか 切ってしまっていて
そうして
また 繋がってゆく
街灯に 光る
もう 雪になりそうな
音のような
静か
ガラス窓が白い
昼休みの ひとり
風景が 霞む
湿った風が
夜を渡ってゆく
普通の 一日
ただの 一日だけれど
このまま 終わってしまってしまいたい
半分の 月
欠けた半分に 木枯らし
波のように 聞こえるのは 風の音
寄せては 返す
まどろみのなか
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