恋文
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峰に沿って 厚い雲が 乗っている 遠い雨の匂い
さざ波のような 雲のなかに 漂うひかり
窓を通して 伝わってくる 冷気 夕日の空が 褪せてゆく
暖かい 夢のなかに 潜る前の 闇の静か
風景が 空の色に 染まる
ひかりが まぶしくて 暖かいので 空を見上げていた
曇り空に すこし 茜がさして
じっとみていた
雲のあいだの 夕焼け色
その色に 濡れていよう
窓から 蛍光灯の 明かりがみえる 曇り空の色
2014年まである カレンダーに ふいに 違和感を覚える
風に背中を押されて 歩く すれ違う 知らない人ばかり
鳥が空を 横切ってゆく 山の稜線が 金色にひかる
木の葉が 散っている
途切れない
木々のぜんぶが 揺れている
煙った街を 眺めるのがいい
音も しっとり 濡れている
陽射しに 目を細めて ひかりが 散ってゆく
誰もいない通りを 光を反射して 走り去ってゆく 車のうしろを 見送っている
窓から しずかに 入り込んでくる 夕暮れの風
引き潮に 呑まれるように たゆたう 目覚めのあいだ
紅葉も とても 静かに立っている 雨のなか
雲は 空に ぎっしり 詰まっている
すぐに ぽつんと 当たってきた
眠れなかった夜を 数えて
眠るまで
季節外れに 咲く花の 小ささ
濡れた歩道に 足を取られそうになる 光る道筋
枯草のような 匂い 陽のない一日
雨が降りだしそうな 空の色とおなじ 閉じこもる
まぶしい光の 昼下がり
みどりが まだ若々しい
曇った空も
木々の彩で
あたたかい
見えない 影に怯えて 爪を研ぐ
霧のなかを 抜けても あらたな霧
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