恋文
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苦い夢も
眠気のなかで
ふんわり 溶けた
静かな林のなか
轟音が通り過ぎていった
基地の町
陽射しのしたで 風も薄みどり
みどりと花と 光と影と みんな同じ場所
ラジオを 止めて
なにもない 音を聞く
まだ 冷たい夜
鉄橋が ひかる
どこかに 通じる道
雨も風も ときどき いつも そんな日々のような気がする
曇り空の 向う なにもみえない
みどりばかり みどりばかりを みていた
かぜがすぎていった いくつも いくつも すぎてゆくのだった
ぼんやり みていた みどり みどり
花の色が 入り混じる
雨の空の色
また 風が冷たくなった
街角も 冬のように見える
つつじの花の 色のまぶしさ
朝の光ゆえでなく
白いツツジの あかり
半月 ぼんやり の空
ラジオの音だけ 響かせている
風のない夜
お皿のような 白い月 ぼんやり
急ぎ足の 帰り道
雲が 足早に 駆け抜けてゆく
とんびが 空を横切る
風と光の 静かな一日
陽射しが あつい
陽が沈むと たちまち
汗ばんだ肌が 鳥肌たつ
夢を見るために 眠る
いつか そちらに移るだろうか
小鳥たちのねぐら かまびすしい
暮れる中に やわらかなみどり
また 風の鳴る夜
ネオンも揺れる
眠ったまま 過ぎてしまえばいい
目覚めを 押しとどめる
茜色の雲 ガラスのビルに 流れてゆく
花びらを舞い上げて 車が走ってゆく
少し古ぼけたような 桜の木の色
メタモルフォーゼを待つ
雨上がりの あたたかい夜
車の音が 通り過ぎてゆく
雨上がりの夜
さざ波の音を 聞いていたい
眠りに波立てる 雨の朝
知らずと それてゆく
ふと 見失う
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