『ブラック・ティー』 山本文緒 角川文庫 - 2003年02月27日(木) 本当にこの人の作品は1編1編研ぎ澄まされている。 とってもいじらしい物語を書くよな、山本文緒って・・・ 人間の本音というか弱さをさりげない文章で淡々と語るワザは右に出る人がいないんじゃないかなあと思う。 誰もが思い当たる軽犯罪、読んでいてドキッとさせられます。 10人の主人公、男女問わず自分に投影して読まれた方が多いはず。 不満を言えば、薄い本なんでもっと読みたいのにっと言うところかな(笑) それほど生々しい小説といえそうです。 個人的には「ニワトリ」が1番良かったかな。 “山本文緒は長編も短編も面白い。男女問わず楽しめる”自分なりの結論が出ました(笑) 生きていく上での教科書的な作品と言ったら少しオーバーでしょうか。 少なくとも山文さんでしか描き出せない世界を短い文章の中で紡ぎ出してる点はお見事のひと言! 読者に人生における反省を促して、前向きな気持ちにさせてくれます。辛辣さが心地よい1冊です。 評価8点。 ... 『顔』 横山秀夫 徳間書店 - 2003年02月26日(水) 大ブレイク中の横山秀夫さん。 本作は陰の季節の「黒い線」という短編で登場する平野瑞穂巡査が再登場するひとりの婦警の成長物語と言えそうです。 警察という典型的な男社会の中で、所属部署の移動なども含めて葛藤して生きて行く姿を赤裸々に語ってます。 ストーリー自体は1編1編面白いのですが、横山さん特有の力強い文体と女性が主人公というのが少しミスマッチな気がして、どうしても割引して読まなければ仕方ありませんでした。 主人公が少し繊細な性格過ぎるのが余計にそう思える部分かもしれませんね(笑) ネット界での評価も他の作品に比べて低いみたいなので、他の作品は読破して行きたく思いますが・・・ 評価7点 ... 『プリズム』 貫井徳郎 創元推理文庫 - 2003年02月23日(日) なかなか趣向を凝らした作品だ。 今までの貫井さんの作風というかイメージを覆してくれる作品だと思う。 作品の構成がよく、4人の探偵役の持ち味が上手く発揮されていて読者を飽きさせないでくれる。 はじめは、子供の視点から善人みたいに描かれていた女性が、徐々に悪い点が暴かれていく過程が読んでて楽しめます。 一番の評価の分かれどころは犯人が明らかにされない点をどう捉えるかということ。これは読む人によって消化不良の方もいらっしゃるかなあとは思いますが・・・ 実験的小説としてはいいかもしれませんね。 本格推理のファンにはオススメだと思います。 一気に読めること間違いなし。 評価7点。 ... 名古屋親睦オフ会のご案内PART�� - 2003年02月22日(土) 今日現在のご参加予定者のお名前を記させていただきます。 トラキチ、ショートさん、なおぞうさん、みかんさん、あさみさん、MMさん、はなさん、まさるさん、ブッチさん、けこたんさん 以上10名です。 多ければ多いほど楽しいと思いますので、どんどんご参加お願いできたら嬉しく思います。 お店等はまだ決定しておりません。(私自身、名古屋には数年行ってませんので(^。^))詳しい方がいらっしゃったら是非お申し出いただけたら嬉しく思います。 HPお持ちの方には、私の方から遊びに覗いますのでよろしくお願いします。 ... 『嫌われ松子の一生』 山田宗樹 幻冬舎 - 2003年02月21日(金) 帯に重松清さんが絶賛してるので手に取りました。 とってもスケールの大きな物語です。 ひとりの聡明な女性の波乱万丈な生涯を、その死の原因を探るミステリータッチで描いています。 亡くなった主人公松子の過去からの回想と、甥っ子である川尻笙の調査とを交互に描き、なかなか読ませてくれます。 文章上の構成もうまくまとまっていて作者の筆力の高さには唸らされることしきり。 特に女性にとって、愛し愛される男性によってこんなに人生が変わってくるものかと小説の世界とはいえ感心しました。 少し男の身勝手さがクローズアップされすぎかなあとは思いましたが、どちらかといえば女性向の作品かもしれませんね。 ただ、読んでいくうちにあまりの悲劇的な人生であるがゆえに、感情移入されて読まれる方にはちょっと辛い部分もあるのかなあとは思いますが・・・ 特に印象的なのは、川尻笙の恋人の明日香のラスト近くでの決断です。思わず大きな拍手を送りたくなりました。読まれた方の大半は同意見じゃないかなあと確信しています。 個人的にはこういった小説大好きです。是非手に取って下さい。 評価9点。 オススメ ... コラム 女性専用車両導入について - 2003年02月19日(水) 普段、南海電車を使って通勤しているが、近日中に『女性専用車両』が導入される。今までは、首都圏や他の路線で実施されていたのでピンと来なかったが、自分の利用している路線で実施されるので身近なものとなった。 ネット上でのアンケートを見るといろんな意見(賛否両論)があるみたいだが、世の中って変わったなあと実感できる出来事だと思う。 個人的には、乗車率の差が極端に開かない限りいいことだと思う。(たとえば女性専用車両がガラガラで、普通車両が満員) この制度の導入の一番の目的は痴漢被害を防げることであろう。 痴漢被害に遭う比率が圧倒的に女性に多いという現状認識の上で考えたら、身をもって体験した方が任意で車両を選べるのは微笑ましいことだと思う。 もちろん、ひとりの男性として若い女性が女性専用車両に行くことによってある種の寂しさもあるが、痴漢被害や冤罪がともに減って快適な時間を過ごせる事は否定できない。 今までに何回か、電車内で疑われた男が怒鳴ってるシーンを目撃してるのでそう言った不快なことは激減するだろう。 私鉄各社もイメージアップのためにせざるを得ない状況に置かれたのも事実であろうが・・・ そのうちに携帯電話車両なんか出来たりしてね。 ... 『観覧車』 柴田よしき 祥伝社 - 2003年02月15日(土) 柴田さんの最新単行本です。 プロになってから初めて書かれた表題作を含む連作短編集です。 ミステリーと恋愛を上手く融合した味わい深い作品となっている。 特に女性が読まれたら主人公の女探偵唯さんに共感する事請け合い。 でも今どきこんな女の人少ないだろうなあという気もしました(笑) 柴田さんの真骨頂である、女心を上手く表した表現も随所に上手く散りばめられています。この作品も舞台が京都が中心で時代の流れ(約7年間かな?)による変化と柴田さんのストーリーテリングの上達(最後の書き下ろし含む3編は素晴らしい)とがとけあっている。 1編1編、かなりミステリー色が強くてあっと驚かせられる展開も待っています。編を重ねるごとに登場人物がふたたび登場して来て、そして失踪してるはずの夫貴之の登場から話は一気にヒートアップ。結構、胸が締め付けられる場面もありましたよ。 あとは読んでのお楽しみという事で・・・ 続編待ち遠しい作品となりました。 個人的に唯さん、好みのタイプです(笑) 男は嘘をつくのだ。決してついてはならない、嘘を。 評価9点。オススメ ... 『つきのふね』 森絵都 講談社 - 2003年02月14日(金) カラフルに続き森さんの本を読みましたが、なかなかシビアな小説だと思う。 少し内容的には重苦しいことは否定できないが、作者のいいたいことは読者の胸を打つことは間違いないだろう。 生きる事の素晴らしさが実感できる本と言えそうです。 主要登場人物4人(さくら・梨利・勝田・智)ともうまくそれぞれの特徴を描写している。少年・少女時代に陥りやすい孤独感や人間関係の題材を非現実的な面とうまく融合している点も心地よい。 きっと中高生の時に読んだらもっと感情移入できたでしょう(笑) しかしながら、少し人間関係で悩む大人が読んでもきっと心を癒してくれる1冊だと思う。 最後の手紙はジーンときました。 つきのふねは来なかったけど、4人の友情はいつまでも続くことを信じて 本を閉じました。 評価8点 ... 『カラフル』 森絵都 理論社 - 2003年02月10日(月) 各サイトで軒並み高評価の本作品は本の雑誌社98年度年間ベスト2の作品です。 範疇的には児童書なのだろうが、セリフが多くて間合いもよく大人が読んでも十分に楽しめる内容となっている。特に案内役のプラプラと真との会話は楽しめます。途中でプラプラがいなくなるシーンなんかは心配になってきちゃいました(笑) 下界で体を借りる“ホームステイ”によって今までわからなかった周りのことが、次々と解明して行く過程が鮮やかに描かれています。 予想していたよりも感動的じゃなかったが(ラストが予期できたためかなあ)そういう予想を通り越して読むべき本なのかもしれません。 ワクワクする本という形容がぴったりといえそうです。 “自殺や援助交際”などのテーマをうまく使っている。大人からすればそこまで悩む事はないのにと思っていることをこの作品を読むことによって、自分の子供の頃に投影し、理解できるはずだ。 言い換えれば、自分という存在を枠の中にあてはめてしまっている私達を、視野の広い世界に連れて行ってくれる1冊と言えそうです。 読んだあとあなたの心もきっと“カラフル”になるでしょう。 評価9点 オススメ ... 『リトル・バイ・リトル』 島本理生 講談社 - 2003年02月08日(土) 高校生作家の芥川賞候補作として話題となった作品です。 なんといったらいいか文章では表現しきれないが、等身大の女性を明るいタッチで描いている点がとってもいい。 家庭環境はそんなに良くないが(父親が違う妹と母との3人暮らし)、それにもめげずに頑張っている主人公のふみちゃんが、恋をして成長していく姿を描いた秀作だと言えると思う。 特に恋人役のキックボクサー周君のキャラがとってもよく(とっても好青年です)、読んでいて島本さんの理想の男性像かなあと思わずニヤッとしてしまいました。 こういう小説を読むと誰にでも書けそうで書けないのが小説だと実感できるので、そう言った面で考えれば非常に才能高い人だと思う。 ちょっとしたことで悩んでる人、この作品を読んだら前向きに頑張れるかもしれませんよ。私も少しですが前向きになれました。 評価8点 ... 『フライ・ダディ・フライ』 金城一紀 講談社 - 2003年02月07日(金) 金城さんファン待望の同時刊行2冊のうちの長編である本作は勇気を与えてくれる1冊と言えそうです。 鈴木一は47歳のサラリーマン、最愛の娘である女子高生の遙に暴力を振るった石原に復讐すべく立ち上がる・・・ どちらかといえばサラリーマン向けといったらいいのでしょうか。普段ストレスがたまってる人にはいいと思います。 鈴木がいい男に変貌していく姿が頼もしく描かれていて、男性が読めば自分に投影して読むことが出来る小説だと思う。 なんといっても落ちこぼれ高校生と心が触れ合って行く過程がとっても感動的だ。 ただ、展開が読めていてその通りになってしまったのはいささか拍子抜けした。映画化されたら面白いなあとは思いますが・・・ 『GO』のように考えさせられる要素のある小説でもありませんし、恋愛要素もほとんどありません。 女性が読まれたら感想を聞きたいなあとも思いました。 主人公を夫や恋人に置き換えて読めたら違った感想もあるかも知れません。 期待の大きな作家なだけに評価は辛くしました。 評価6点 ... 『卵の緒』 瀬尾まいこ マガジンハウス - 2003年02月03日(月) 「卵の緒」と「7's blood」の2編からなる中編集で表題作は第7回の坊ちゃん文学大賞の受賞作です。 《bk1へ》 《Amazonへ》 2編とも瑞々しいタッチで描かれていて甲乙つけがたいほどいい作品だと思う。 子供の視点から家族のあり方をさりげない筆致で描いているが、読者の胸を打つことは間違いなし。 表題作は母親が育生を引き取ったいきさつが、また「7's blood」は七子と七生の別れのシーンが・・・ いずれもそれぞれ血の繋がってない親子、異母姉弟の心のふれあいを描いているが、血よりも濃い思いやりの心が滲み出ていて読者に日々忘れかけている本当に大切なものを思い起こさせてくれる。 瀬尾さんの感性豊かな文章はとっても鮮やかで、読後感のいい1冊となりました。 『すごーくおいしいものを食べた時に、人間は二つのことが頭に浮かぶようにできているの。一つは、ああ、なんておいしいの。生きててよかった。もう一つは、ああ、なんておいしいの。あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今自分が一番好きな人なのよ』 評価9点 オススメ ... 〔GOOD LUCK!!〕 第3回 TBS連ドラ - 2003年02月02日(日) 公式サイトはこちらです。 香田(堤真一)が病気の内藤ジェーン(竹中直人)の代わりに搭乗した便にて、離陸直後代議士が体調不良の為に飛行機から下ろせと言い出す・・・ 今回から堤さんと黒木さんとの過去が少しづつ暴かれる展開となってきていて、こちらも興味津々です(^。^) それにしても堤さんのファンにしたら『武蔵』といい日曜日の夜はたまりませんよね。 コウちゃんの飛行機嫌い(というか恐怖症)の理由も徐々に判明していくでしょうが、まさか降りるとは予想だにしませんでした。 キムタクのコウちゃんに対する想いがますますヒートアップしてきていて微笑ましく感じられますよね。きっと飛行機に乗せて飛び立つということで実を結ぶ日も近いでしょう。お互いのファンがそのように願ってる所に二人のビッグさがあらわれてると思います。 今回もっとも印象的なシーンはホノルルと日本で同じ太陽を見つめて話し合うシーンです(私だけじゃないはずですよね) ただ、ふたりが幸せになるまでに堤さんがコウちゃんを誘惑するシーンも見れそうな気がします(^。^) 日曜日の夜にこのドラマを見て勇気づけられる人はかなりいてるだろうなと実感しました。山下達郎のテーマ曲も古さを感じずにキマッテマス! ... 『貴船菊の白』 柴田よしき 新潮文庫 - 2003年02月01日(土) 柴田さんの文庫最新刊です。 京都在住の作家さんらしく、京都を舞台として繰り広げられる7編からなる短編集です。どれもが人間ドラマとして面白く読めました。 とにかく京都の風物(祇園祭や街の風景)が季節感をまじえて上手く織り交ぜられている。それぞれの話の展開も適度にミステリー要素をふまえ、引き込まれること間違いなし。過去を振り返るシーンがとっても人間の奥底に潜む悪意をいろんな形で描写しているなあと痛感しました。 舞台が京都だけにサスペンスフルだがしっとりと読ませてくれます。どの話もかなり胸を打つ内容ですよ。 柴田さんの作品のいいところはいつも“どんなふうに話を繋げていくのだろうというワクワク感を読者に持って読ませてくれる点”だと思います。 すべての話が恋愛を題材としていてる点も見逃せません。柴田さんの純粋な恋愛小説を読みたいと思ってるのも私だけじゃないはずです。(笑) 個人的に特に好きなのは「一夜飾りの町」と「幸せの方角」。見事な出来栄えです。女性の方が読まれたら「銀の孔雀」が1番という方が多いと思います。 未読の方是非お読みください。お買い得の1冊だと思います。新潮文庫です(^。^) 好きなフレーズ引用させていただきます。 “愚かでも、小さくても、つまらなくても。 生きることは、それだけで、素晴らしい。” 評価9点 オススメ ...
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