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《シカゴ》&《チャーリーズエンジェルフルスロットル》 ビデオ - 2003年11月30日(日)

☆シカゴ
評価8点。(2002・米・113分)

ご存知アカデミー賞作品賞受賞作品です。
ヒロイン2人とも殺人犯であるという設定が面白いし“シカゴ”らしい。
犯罪者がスター気取りだからね。
ミュージカルは好きじゃないけど、この映画に限っては観やすくて楽しめたという方が多いんじゃないだろうか。
ビデオで見ていても家の中が舞台に変身したような気分にさせてくれます。
どう考えてもあんな明るい留置所ってないですよね(笑)

何よりも目立ったのはリチャード・ギアの余裕の演技・・・
かつての青春映画のスターから見事な男の渋さを醸し出す演技を身につけた点は心憎い。

女性陣ではやはりレニー・ゼルウィガーよりキャサリン・ゼタ・ジョーンズの方が目立っていたような気がするが、好みの問題でしょうか。
特に面白かったわけでもないが、もう1度見たいなあと感じたりしてるところからして爽快感を味わえたのでしょうね。(苦笑)

☆チャーリーズ・エンジェルフルスロットル
評価5点。(2003・米・105分)

こちらは前作よりパワーアップした感じにも見受けれるが、内容的には物足りなさが目立った作品となった。
個人的にかなり主演3人のファンでない限り楽しみにくいと思う。
ファンの方は“ファッションショー的なもの”として楽しめるかもしれません。

とにかく、アクションもCGに依存する点が高くてセリフも下ネタが多すぎる。

デミー・ムーアも40過ぎてビキニ姿はないだろうと思ったのは私だけでしょうか。


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『バラガキ』 中場利一 講談社文庫 - 2003年11月24日(月)

元気のいい“バラガキ”こと土方歳三が楽しめます。
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本作は描かれた時期が池田屋事件までで、いわば、壬生浪士組が終焉し、新選組の上り詰めて行く姿がビビッドに描かれているのであるが、敢えて悲壮感漂うその後を省略したのは作者の持ち味が薄れるからなのだと思われます。

悪役(?)として登場する芹沢鴨に関する人物像やエピソードも満喫できるが、それぞれの隊士の強烈な個性を捉えすぎて強調しすぎてる点が、長所でもあり短所でもあるような気がした。

本作を読めば、作者が芹沢派一蹴に関わった土方歳三の際立った才覚の良さを訴えてることが読み取れます。
そう言えば、芹沢と一緒に亡くなったお梅、この物語で一番の悲劇の人ですよね。

土方さんお得意の(笑)、恋愛においては、お琴との別れ、千世との出会いがあります。
ちなみに千世は14歳です(苦笑)
文章も現代風でコミック感覚で青春小説として楽しめる点は評価したいと思う。

ただ、土方ファンには良いと思いますが、新選組の他の著作を多数読まれた方にはどうしても重厚さや信憑性においては劣る為に物足りないと感じるような気がします。

もちろん、五稜郭までを描いた『燃えよ剣』のようなドラマチックな作品ではありません。
やはり歴史小説というより青春小説だと思って楽しむべきかな。

女性ファンが多い沖田総司との兄弟のような仲の良さも印象的で、ふたりの会話がユーモラスなのも印象的でした。

文庫本の解説は重松清さんが担当されてます。

評価6点


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『クレオパトラの夢』 恩田陸 双葉社 - 2003年11月23日(日)

第1弾の『MAZE』は読む前にこちらを先に読んでみが、そんなに違和感なく読めた。
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本作は、恩田さんの良い面と悪い面とが両方表れた作品と言えそうです。
読み始めて、何故H市なのかという疑問が次第に解き明かされるのが読者にとっては嬉しい限りであるが、なんと言っても主要登場人物4人の騙し騙されの会話が楽しめる点が読者を釘付けにするのである。
恩田さんの文章って変幻自在でまさに“言葉の魔術師”って感じなのですが、それだけ吸引力が強い作家さんなんだと思います。
恩田さんの魅力って“読んでいるだけで楽しい夢心地な気分にさせてくれる”点だと思う。他の作家では味わえないようなレベルにおいて・・・
本文中に出てくる冷凍みかんの話なんかは本当に背筋がゾクゾクするような話で圧倒される。

逆にマイナス点だが、オカマチックな主人公恵弥が個人的にはあんまり共感できなかった点をあげたい。
きっとディープなファンの方には受けがいいのでしょうがね(苦笑)
あと、恩田作品によく言われてるラストのあっけない幕切れなどを考え合わせると、タイトルから彷彿させるスケール感はなかったような気がします。
“お洒落なライトミステリー”として割り切って読めたら合格点なんでしょうが、ファンの期待が大きいだけにちょっと苦しいかもしれませんね。

個人的に同タイプの作品の『木曜組曲』の方が奥行きが深くて良かったような気がします。
もう少し長い作品の方が力を発揮できるのでしょうね、きっと・・・
枚数が足りなかったかな(苦笑)

評価7点。


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『誰そ彼れ心中』 諸田玲子 新潮文庫 - 2003年11月22日(土)

新潮文庫から文庫化された作品で、宇江佐真理さんが解説を担当されてます。
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諸田さん著作リストは《こちら》
本作は諸田さんの初期の代表作といえそうな作品だと思います。
最初に好きなシーンを引用しますね。
『父上は母上が大事ゆえ、後添えをもらわなかったと申されました。あのときはようわかりませんでしたが、今はわたくしにもわかります。心から思うたお人はこの世にひとり。死ぬも生きるも、思うたお方と共にあることが、女子の一番の幸せにございます。』

女性の繊細な心模様を確かな筆致で楽しめる作品と言えそうです。
一気に読ませてくれるラブ・サスペンス調のミステリーって感じでしょうかね。
主人公の瑞枝の心の動きの描写が花にも例えられて本当に素晴らしい。
御家人の家から旗本の家に嫁いだ主人公が、夫の様子の変化に気づき悩む姿が共感を呼びます。
孤立した瑞枝に救いの手をさしのべる、小十郎・おはる・大島・・・

夫が本当に入れ替わったかどうかというミステリー的興味と、身分違いの小十郎との禁断の恋という2本の柱が読者を襲ってくれるので一気に読めること間違いなし。

とっても印象的なのはやはり誰の子供かわからない状況で堕胎を決心しようとするシーンでしょうね。
近作、『恋ほおずき』でも似た題材で語られてますが現代社会にも通じる問題なんですが、生死を賭けたという意味合いにおいては当時の人の大変な決心が読み取れます。

あと、実家の妹多美の結婚が顔見知り同志で行われる点に瑞枝がとっても羨ましく感じているシーンを書き留めておきたく思います。当時の世相を反映した場面ですね。

ただ、結末に関してはいろんな捉え方が出来そうですが、瑞枝の状況を考慮したら仕方がないような気がします。
切ないがこれが幸せなんだと信じてページを閉じてもらいたいですね。
きっと女性が読まれたら小十郎への想いが募って行く過程が楽しめると確信しております。

評価8点。







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『汝の名 WOMAN』 明野照葉 中央公論新社 - 2003年11月21日(金)

明野照葉さん、初挑戦しました。
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本当に対照的な2人の女性(陶子と久恵)が登場するので男性読者は違和感を感じるかもしれません(笑)
女の情念というか容姿へのコンプレックス等に対する描写が凄いです。
途中で、亮介に心を奪われてからの2人の関係の変化と物語の展開は楽しかった。
男勝りの気性(陶子)なれど、本当に恋をする設定は女流作家らしいかな。

一方、女性が読まれたら生き方に対する価値観を学べる1冊だと言えるかも知れませんね。
いろんな意味で女性に自立心を促してる点は読み取れたような気がします。
必ずしも陶子の生き方が勝ち組ではないということなんでしょうね。

本作で出てくる(株)ESTの業務内容なんかは本当に実在してそうで怖いですね。
あと、薬物使用はもちろんのこと、久恵が老人を手玉に取る過程などはゾクゾクしますわ。
それにしても途中の展開は読めたのだが、ラストは読めなかった。
辛辣といえば辛辣すぎるのかもしれません(苦笑)

“女の人って大変なんだ”と認識を深めた1冊です。
海月ルイさんの『子盗り』なんかにも通じるものがありそうですね。
ただ、読後感は本作の方がずっといいです。
是非、狂気の世界を楽しんでください。

評価7点。



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『送り火』 重松清 文藝春秋 - 2003年11月19日(水)

“重松さんお帰りなさい!”と声を大にして叫びたい作品だ。
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まるで阪神ファンが死のロードから帰ってきた選手を甲子園で迎えるような感じで読める本です。
それも今年のように強くなった阪神ですわ(笑)
少なくとも半分以上の作品を読まれた方はそう感じられた方が多いんじゃないかなあと思います。

内容的には私鉄“富士見沿線”に住み人々の悲喜こもごもを描いた9篇からなる短篇集です。
リストラされた無職男、落ち目のフリーライター・・・
特に電車通勤されてる方には愛着が湧いてオススメと言えそうですね。

読後“他人の気持ちが少しでもわかったような気分にさせられる”のが重松作品の凄さであるが、本作を読めば重松さんも年齢を重ねるごとに表現力が増し、意図的なものも含めて少しづつであるが作風も変わってきてるような気がする。

初期の重松さんの短篇作品は主題に重きを置いてたような気がするが、本作では題材のバリエーションが増したためにプロットでもかなり楽しめる内容となっている。
そこで帯の“著者初のアーバン・ホラー作品集”に敢えて苦言を呈したく思う。
都会に住む人の日常考えられる苦楽を読者に暖かいまなざしで提供してくれている内容を考慮すれば個人的にはつけて欲しくなかった宣伝文句である。
まあ、出版社の意図だとは思いますが・・・

少し重松節を引用しますね。
“意外とプレッシャーに弱いひとなんだなあ、と絵理子はあきれて歩美を抱いた。女性にマタニティブルーがあるように、ローンを背負ってマイホームをかまえた男性にも、「大黒柱ブルー」とでも呼ぶものがあるのかもしれない。”「漂流記」より

重松作品を読む楽しさは、他のどの作家の作品を読むよりも読んでいる時に他の読者がどのように感じているだろうかということが非常に興味深い点である。
100人が読めば100通りの感じ方があるとわかりつつ、年齢・性別を超えてそれぞれの感性を磨く時間を共有できるのは嬉しい限りである。

感動的な点からいえば重松さんの代表的短篇の『小さき者へ』の「海まで」や『ビタミンF』の「セッちゃん」、あるいは『日曜日の夕刊』の「後藤を待ちながら」のような作品よりは劣るかもしれません。
ただ、読みやすさやというか、“隣の家庭(本作で言えば私鉄沿線に住む人々)を気軽に垣間見て、人生の喜びや悲しみを共感出来る”点においては本作の方が深みがあっていいのかもしれませんね。
個人的にベストの作品を選べといえばやはり一番感動的な「かげぜん」でしょうか。

重松さんの作品の芝生は決して青くありません。
青くないがゆえに読み終えた後、庶民にささやかな夢を持って生きることの大切さを再認識させてくれるのでしょう。

『疾走』、『哀愁的東京』、『お父さん、エラい!』・・・さらには『愛妻日記』(12月発売予定)
今年はいろんな意味でターニングポイントとなった年だったと思います。
重松さんにとっても、読者にとっても・・・
個人的には“餅屋は餅屋”という言葉もあるとおり、本作のような家族小説が安心して読めて一番好きですが、ファンの一人として作風を広げようとしてる重松さんに読者も暖かいまなざしで見守って行きたく思ってやみません。
きっと“家族小説作家”から“広い意味の“庶民小説作家”に転身して行こうとしてるのだと思います。

どんなジャンルの作品であれ、身につまされる話を書かせれば彼の右に出るものはいないと思ってますので・・

評価9点。オススメ




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『影踏み』 横山秀夫 祥伝社 - 2003年11月14日(金)

大作『クライマーズ・ハイ』のあとの作品の為に非常に期待して読んだのだが、正直言って肩透かしを食らった感は否めない。
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横山さんの主人公は一貫して正義感の強い人間が務めることによってその生き様が大いに読者に共感を呼ぶのだろうが、本作は窃盗罪の常習犯で“ノビカベ”の異名を持つ真壁修一を主人公としてる点が異彩を放っている。

長編作品なんだが、雑誌連載の弊害が出てる点も否めず、ところどころ不自然なつながり方というか、焦点の定まらない話の進み方が読者の集中力を妨げたような気がする。
それぞれのシーンは緊迫感のある文章と会話でいいのだけど、上手く機能してないのが残念だ。
全7章中、5編目の「使徒」は独立して考えてもとっても良い話なのは印象的だが、いかんせん、双子の弟との会話がそんなに彼の人生を変えてるのかなあという疑問を持って読んでるためにインパクトが薄い気がした。

あと、登場人物の繋がりもいささかわかり辛かった点もあげておきたい。
正直、初めて横山さんの作品を読まれる方にはオススメしたくない作品と言えそうですね(笑)

本作の評価の分かれどころは、久子との修復を勧める亡き啓二(修一の意識の中に棲みついてます)との兄弟愛をどう捉えるかが一番のポイントとなってくるでしょう。
個人的には主人公が少しでも更正しようとういう意志を読者に投げかけてくれなかった点は残念な気がした。
ラストで火事の時の亡き弟と母親の関係が語られますが、ちょっとインパクトが弱かったというか引き込まれませんでしたわ、今回は・・・
ただ、双子の方が読まれた場合の感想は聞きたいと思いますね。

横山さんの作品の中では一番ハードボイルドタッチであることも付け加えておきたいですね。
暴力シーンは楽しめます(笑)

次作大いに期待しましょう。
横山さんにはもっと前向きに生きる男を描いて欲しいです。

評価6点。

横山さん著作リストはこちら


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『竜馬がゆく� 戞〇頁藁紡析此(現嬖幻法平形�版) - 2003年11月07日(金)

まさしく“歴史は小説よりドラマティックなのかもしれない。”
激動の時代を生き抜いた幕末の若者たちが次々と登場してくるシーンは読んでいてワクワクさせてくれる。
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1巻目は竜馬が土佐から江戸に出て、千葉道場に入門、一旦土佐に戻ってふたたび江戸に戻り、安政諸流試合で桂小五郎と対戦するまでを描いている。
年齢で言えば、19歳から23歳当たりまでで、時代的にはペリーが浦賀に来航した年前後。

竜馬自身、剣術に励み、思想的にはまだ固まってない感もあるが、持ち前の独特の物怖じしない気性は存分に発揮されていて、とにかく爽快に読める点が嬉しい限りである。

とにかく本書はいろんなエピソードが怒涛の如く読者の前に提供される。
個人的には桂小五郎との運命的な出会いが印象的だ。

また、女性に対する初心な気持ちなんかも読んでいて面白い。
共に竜馬に惚れるさな子の意地らしさとお田鶴の切なさ、あと冒頭における姉の乙女の一本気な性格も印象的だ。

このシリーズの魅力のひとつに次々と史上の有名人物が出てくる点があげれると思うが、三菱王国を築いた岩崎弥太郎が出てきたシーンなんかは思わず驚愕した。

司馬さんは、1巻目は竜馬の自由奔放さを読者に垣間見させたかったのだと思っております。

ひとつ褒め称えたいのは、あるエピソードがあって、その事後談を結構わかりやすく読者に提供してくれるのも司馬文学の特徴であるような気がした。




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『ふたたびの恋』 野沢尚 文藝春秋 - 2003年11月01日(土)

脚本家として名高い野沢さん、初挑戦しました。
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恋愛ものの三編からなる中編集となっている。
脚本さながらのドラマティックな展開は読んでて思わず引き込まれてしまう。
どの作品も映像化されたら野沢さんのシナリオが生きてきそうですね。

どれもが大人の恋を描いているが三者三様の特徴があって読ませてくれる。

やはり表題作の「ふたたびの恋」が一番印象的かな。
野沢氏と同様、脚本家が主人公の為にどうしてもリアルに描かれてる分読んでいて引き込まれる。
途中の盛り上がり方からラストの落ちまで休む暇もなく楽しませてくれるあたりはさすがと言えよう。

読者にとって、嬉しかったのは脚本製作のプロセスが語られている点である。
あと、ミステリー要素をまじえてる点も成功していると思う。

残りの2編目3編目も文句なく楽しく読める。
「恋のきずな」における主婦のほろずっぱい恋。
「さようならを言う恋」におけるいつまでも子供を想う父親心。

いずれもサラリと読める点が長所でもあり短所でもある気がしたのですが、どうでしょうか?
表題作は舞台化されたみたいですが、どれもが野沢氏脚本でドラマ化して欲しいなあと思える作品ばかりでした。

評価8点。


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