ジョージ北峰の日記
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2007年01月31日(水) 続オーロラの伝説

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 ベンは部隊全体に”戦闘準備”の命令を出しました。
 偵察に出ていた先方隊から、逼迫した声で「相手は大イカの大群」との伝令が飛んできていましたが、それっきり通信が途絶えてしまいました。しかしそれは味方の隊形を決定する上で極めて重要な情報になりました。ベンは進行を停止すると、あらかじめ決まっていたのか「B隊形!」との指示をだしました。
 見ているとエイ部隊は速やかに中央部を中心に”お椀型”の隊形を取りました。
 全体を確認すると、ベンは直ちに中央の編隊に「灯りを点けるよう」命令を出しました。
 私には作戦の本当の意図は分かりませんでしたが、イカ部隊ということで”灯り”で相手の大群をおびき寄せ周囲から一気に攻撃するのだろう、との想像はつきました。しばらくすると司令室から作戦上、「水中銃は使用しない」との指令が届きました。「エイ部隊はトロール網作戦のみ実施する」ベンは命令を出しました。
すると部隊が高低およそ200メートルの範囲にトロール網のような網がみるみる張りめぐらされた。サメの場合、網は簡単に破られるがイカの場合は、この方法で戦えると判断されたのでしょう。
 モニターを見ていると彼らの差はみるみる接近して来ました。敵は予想通り灯りの中心を目指して突進してきます。船内は緊迫した雰囲気に包まれました。司令室には本部、周囲から伝令が飛び込んできます。それをまとめて伝令係がベンに情報を送ります。
 接近して来たイカを見た時、私はモンスターザメを見たときと同様の衝撃を受けました。昔、映画で怪物イカが船を丸ごと転覆する場面を見たことがあったのです。それと同じ大型の怪物イカが、大群をなして押し寄せてきたのです。
 我々のエイ戦闘機が、彼らに吸い付かれたら如何になるだろう?
 身動きできなくなるのでは?
 そうすればDランドに上陸する前に沈められることになる!
 私は戦うこともなく、海中の藻屑となってしまうのだろうか?私は自問自答を繰り返していました。緊張のため、握り締めた手は汗でびしょ濡れになっていました。
 しかし私の心配とは裏腹に、作戦は功を奏しそうでした。イカの大群を網の中に閉じ込めるための隊形をあらかじめ準備していたからだが、それだけで作戦が成功したわけではありませんでした。イカが網から逃げ出す前には、網の口を塞がなければならなかったからです。それには勿論エイ戦闘機は不適でした。スピードが遅いからです。
 作戦が成功したのは、今回はシャチ部隊が作戦に参加していたからでした。なんとパトラがシャチ部隊を指揮していました。彼女の部隊はエイ戦闘機の外側を護衛していて、最後のイカが網に入った瞬間、素早く網の口を閉じる動きに出たのだ。
 「今回の作戦には、パトラまで参加している、私はラムダ国が”背水の陣”をしいている”悲壮な覚悟”をひしひしと感じました」
 それを察知した後方に布陣する大イカは反転逃げ出そうとしました。
 大半のイカの捕獲には成功しましたが、逃げ出したイカも相当数に上リました。しかしラムダ国の作戦としては大成功だったと思います。
 しかし問題は、捕らえられたイカが一斉に墨を吐き出したことでした。周辺の海は瞬時に真暗闇になりました。
 「これが、エイ部隊がイカ部隊に攻撃を加えなかった本当の理由だったのか」私は納得した。
 しかし周囲の状況は墨のため分からなくなっていました。
 私は一瞬不安になりましたが、ベンは落ち着いていました。直ちに互いが衝突しないように味方に超音波探査の命令を出しました。
 すると敵味方の位置を画像上確認できるようになりました。そして網に包まれ苦しもがきながらイカの大集団が海底に沈んで行く様が確認出来ました。
 と!突然、私たちの戦闘機が上下左右に大きく揺れました。かと、思うと機は大きく回転しながら沈み始めたのです。
 ”何事!”と窓を見ると、なんと30mはあるかと思える、化物の様なイカの吸盤が窓に吸い付いている。”大変だ”私はあまりの驚きと揺れの大きさで一瞬失神しそうになったくらいです。
 「直ちに攻撃用水中銃を発砲を!」と、ベンのほうに振り向きましが、彼は攻撃の指示を出しません。
 怒りに猛ったイカはエイの翼に食いついている。イカの力が加わるたびに内部は地震の様に、機が波に翻弄され木の葉のように激しく揺れる。 「エイの翼がイカに食いちぎられないか?」
 「海中に放り出された私は如何すればいいか?」
 生まれて初めて、私は”死の恐怖”を意識しました。私は、ベンに振り向き、
 「何もしないで良いのか、我々も外に出て戦うべきでは!」と言うと、ベンは「落ち着いて!この戦いはこちらの勝利だ」と言い切りました
た。
 「何故?」
 私にはベンの自信の根拠が分かりませんでした。しかしベンは「大丈夫!」と断言したのです。
 


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