TWILIGHT DIARY
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前から、気になっていた作家、藤沢周平の短編集「夜の橋」を読み始めた。 一作が15分から20分程で読めるので、仕事の合間に読み切れるので有り難い。
二つほど、短編を読んだばかりだが、これがまた良い。 城勤めの武士たちの武芸談、江戸の市井の人々の暮らしと情愛。
最近は、とんと長編が読めなくなった。 原因はわからない。 読んでいて、何故か飽きてしまうのである。
短編でも、作家の文章表現が自分の感覚に合わないと、一行も読み進まない。 こうなると、もう悲劇である。 それで最近読むとしたら、もっぱら随筆物などのエッセイものが多い。
だが、今回の藤沢周平はピタリはまった。 いわゆる時代小説を、私はあまり読まない。 藤沢周平の時代物は、時代物であって時代物ではない感じがする。 時代小説でありがちな、歴史上で有名な人物など一人も登場しないのである。 主人公は、江戸時代の普通の侍や市井の人なのである。
日本の何処かであった誰かの物語を、時計の針を少し戻して、 白紙だった紙に、藤沢周平の語りで甦らせている、そんな感じなのである。
だが、その何処にでもありそうな、江戸時代の普通の人々の物語は、 今の人の感覚にも似て、情愛感情など共感できるもので満ち溢れているのである。
新内や義太夫三味線でも聴いて読みたい、現実的な時代物である。
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