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2002年07月22日(月) 藤沢周平。。

前から、気になっていた作家、藤沢周平の短編集「夜の橋」を読み始めた。
一作が15分から20分程で読めるので、仕事の合間に読み切れるので有り難い。

二つほど、短編を読んだばかりだが、これがまた良い。
城勤めの武士たちの武芸談、江戸の市井の人々の暮らしと情愛。

最近は、とんと長編が読めなくなった。
原因はわからない。
読んでいて、何故か飽きてしまうのである。

短編でも、作家の文章表現が自分の感覚に合わないと、一行も読み進まない。
こうなると、もう悲劇である。
それで最近読むとしたら、もっぱら随筆物などのエッセイものが多い。

だが、今回の藤沢周平はピタリはまった。
いわゆる時代小説を、私はあまり読まない。
藤沢周平の時代物は、時代物であって時代物ではない感じがする。
時代小説でありがちな、歴史上で有名な人物など一人も登場しないのである。
主人公は、江戸時代の普通の侍や市井の人なのである。

日本の何処かであった誰かの物語を、時計の針を少し戻して、
白紙だった紙に、藤沢周平の語りで甦らせている、そんな感じなのである。

だが、その何処にでもありそうな、江戸時代の普通の人々の物語は、
今の人の感覚にも似て、情愛感情など共感できるもので満ち溢れているのである。


新内や義太夫三味線でも聴いて読みたい、現実的な時代物である。









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izumi [HOMEPAGE]

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