TWILIGHT DIARY
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さて、最近はまっている藤沢周平の短編集「夜の橋」の中から、 今日も一編読んだ。
前にもここで述べたが、一編15分位で読めるので、 大して時間がいらず、非常に楽である。
「裏切り」という題名のその短編は、 ある日、急に帰って来なかった主人公の恋女房が、 実は、出会い茶屋で誰かと逢引をしていて命を絶たれる。
その夫である主人公は、苦悩しながらも犯人探しをする所から、話は始まる。 なんだか「御宿かわせみ」のようで、江戸情緒溢れる物語りなのである。
長屋暮らしや、水茶屋や賭場の模様や、岡引の台詞。
その短いほんの15分程の読書の合間、読む者は一瞬、江戸にワープする。
江戸の裏小路を、げたをカランコロンと鳴らして、人が歩く音や、 長屋で誰かが、包丁をトントンと叩いておさんどんをしているのが、 この本を読んでると、今にも聴こえてくるようである。
決して、捕り物が主題ではないが、それはそれで興味が湧くし、 なんといっても、こういう時代物の醍醐味はやはり、 江戸の人々の暮らしぶりや、情愛ではないか。
日本人ならでは、という短編であった。
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