TWILIGHT DIARY
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昨日は霰が降っていたが、 今日の未明に、札幌平野部の初雪を観測したそうである。
北国に住んでいる者は、毎年毎年、初雪の日を迎えるが、 それぞれの年のその日その日に、色々な思い出があったりするものである。
昨日は、コンコードjazzフェスがあったが、 今から20年以上も前の初雪の日、アート・ペッパーのコンサートがあった。 彼は、今はもうこの世にはいない。
コンサートの手伝いをしていた私は、 他のスタッフと共に、楽屋に彼を訪ねる事が出来た。
市民会館のお世辞にもあまり綺麗とは言えない楽屋の一番奥に、 彼はちょこんと座っていた。
復帰して「再会」というアルバムを出した後のコンサートで、会場は満員である。 だが、彼は楽屋の畳の上に黙ってちょこんと座っている。
jazzサックスファンにアート・ペッパーを知らない人はいない。 だが、彼は奢る事もなく、ただ普通にサインを静かにして、 「サンキュ」と小さなかぼそい声で言った。
その時私は、事情がよくわからなかったが、 随分後になってから、彼が何から復帰したのかがようくわかった。
置き去りにされた小さな子供のように、 楽屋の奥で一人で座っていたアート・ペッパー。
初雪の日の私の一番極上の思い出である。
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