あたろーの日記
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2003年01月18日(土) 根無し草

 今住んでいる所は11番目の居住地である。
 父の仕事の都合で、子供の時は転校ばかりしていた。
 両親が土地を買って家を建てた時、これでひとつの場所に落ち着くことができるんだ、とほっとしたのを覚えている。
 が、親元を離れ東京で暮らし始めると、時々引越ししたくなって、3回移動した。今のアパートは東京では4ヶ所目。
 まあ、「引越し魔」と呼ばれるほどではないと思うが、住居を替えるのに抵抗感はないほうだ。
 ひとつところに長く住み続けていると、そろそろ次の場所を探そうという気持ちになってしまう。その時の自分の気分にぴったり合う場所を、地図を広げてイメージする。交通の便とか、住みやすさは二の次で、とにかく惹かれる場所があると、何が何でもそこに住もうと決心して、不動産屋を回り始めてしまう。
 根無し草みたいに移動してきたから、生まれてからずっと同じ場所に住んでいる人が不思議でならない。正直言うと、よく飽きないなあと思ってしまう。
 だけど、自分もいつかは終の住処となるような場所を見つけてどっかり腰を据えて暮らしたい、と考えている。そのために、若くて一人身の身軽な内に、住みたい場所に住んでみようという風に思ってきた。結婚すればパートナーに合わせて住む場所も決まってしまうだろうから、自由に動けるのは今だけだと思ってもいた。
 で、今いるアパートは今年で6年目になる。
 私にしては長すぎる。
 引っ越さないでいた理由はいくつかある。
 わりと気に入った街だし、引越しにかかる費用の問題もあるし、長く住むにつれて家財道具が増えてしまったというのもある。
 長く住めば住むほど当然土地とのつながりというか、絆のような感覚も出てきて、だんだん離れがたくなってきた、というのもある。
 そうなると、これまで住んでいた場所を離れて新しい土地で一から始めるのが億劫に思えてしまう。
 
 ・・・そのくせ、いつか住みたい土地について想いを馳せたりしている。
 東京は、私にとって長く住む場所ではないと考えている。 
 実を言うと、いつか小さな菜園を持ち、お寺の塔の見える、自然の沢山残る土地に住みたいと思ってきた。中学生の頃、早朝目を覚まして窓の外を見ると、霞の向こうに薬師寺の塔が見えて・・・という夢を見て以来、それが印象に残っている。
 自分の住みたい場所を自由に選べる根無し草のような身分がとてもありがたい。
 強烈に惹かれる土地があれば、そこに移り住んでみるのもいいと思う。自分で選んだところが終の住処となるなら、こんなに嬉しいことはないような気がする。
 ・・・そんな風に考えていたら、だんだん動きたくなってきた。
 思えば、私が東京に住むことになったのは、大学がここにあったからであって、別に都会に憧れてきたわけでもないし、本当は卒業するまでしか住まないつもりでいたのだし。
 やっぱり、京都か奈良に住みたいし。
 京都移住計画。

 ところが。
 いざ本気で考え始めると、まだまだ移れないなあ、と思う。。
 いつの間にか14年も居座った東京だもの。知り合いも沢山いるし、参加している趣味の会もある。行きつけの本屋や雑貨のお店、好きな喫茶店、ラーメン屋、焼き鳥屋・・・。移住するには費用もかかる。仕事の問題もある。まだ19歳だった上京時に比べて、ある程度はものが分かるようになってしまった今は、新しい土地に自分が溶け込めるか不安で尻込みしてしまう。アパートの契約1つとっても、東京とは違うだろうし。それに、離れることを考えると、東京もまたいい土地だよなあ、って思ったりする。まだ訪れてない場所も沢山あるし。
 だけどだけどとまた堂々巡り。
 こんなこと考えてたら、どんどん億劫になって腰が重くなるばかり。
 こうなったら3ヵ年計画で思い切って実行するしかない。
 そんな悠長なこと言ってるの?なんて笑われそうだけど。
 
 根無し草って結構気の毒な習性かもしれない。
 って、自分で言ってみる。

 


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