あたろーの日記
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狭い6畳の部屋の片隅に、正座してちょうど目の位置の高さ位の朝鮮薬箪笥がある。薬草の名前が彫られた小さい引き出しが沢山ついているもの。 6年ほど前に、たまたま入った骨董品やさんで見つけて買った。骨董品ぽく作られた最近のものだから、値段はそんなに高くなかった。結構気に入っている。 その箪笥の上に、生前私を可愛がってくれた祖母の写真と形見の品を飾ってある。よく忘れるんだけど、毎朝小さな花柄のおちょこにお水を入れて写真の前に置く。朝はいつもどたばたしてるから、手を合わせる暇すらない(ほんとはあるんだろうけど)。心の中で(行ってきますよー)とだけ。 で、それじゃあんまり祖母に申し訳ないから、仏壇代わりにと、以前京都に行ったとき、清水寺の近くの仏具やさんで小さな不動明王像を購入して、写真の隣に置いている。不動明王にした理由はすこぶる単純で、店先で、酉年のご本尊は不動明王だっていう説明を読んだから。なんとなくカッコよくて好きだったし。 で、ついでに(ついでにとは罰当たりな・・)初詣に行ったとき神社のお札を購入して、箪笥の上に立ててある。が、昨年末に帰省するとき、そのお札を持っていくのを忘れたので、今立ててあるのは昨年の初詣に手に入れたもの。。あちゃ。どーすべ。 でも、箪笥の上で一番幅を利かせているのは、6年位前に散歩の途中で入った骨董品やさんで見つけた、龍の絵の香炉。 あのときのこと、まだよく覚えてる。 何気に入った店の中で、ふと、目に留まったとき、(あーしまったー)と思ってしまった。(捕まってしまったー)。 ぼってりした形の白い磁器の肌に、青い龍が踊っている。三本の足には獣足模様。他の品の中でも、それだけが存在感放っていて、何度も何度も手にとって見ていたけど、2万円のものをぽんと買うほどの冒険ができなくて、その日はあきらめた。 ところが、翌日も、その翌日も香炉のことが頭から離れなくて、とうとう買いに行ってしまったという次第。店主が古新聞に丁寧に包んでくれているのを、胸を躍らせながら見守っていたのを覚えている。 その頃から、お香にはまっている。 といっても、香道といった本格的なものではなく、ただ香炉に灰を入れて、気に入った香りのお線香をぶちっと立てておくだけ。 雑貨屋さんでみつけたお香もあるし、物産展で買った青森ヒバのお香や、エスニック雑貨のお店に売っているインド製のお香も使う。 一番気に入っているのは、京都の東寺と三十三間堂で買ったお香。 東寺のは甘く穏やかな香りだし、三十三間堂のは、少しスパイシーな荘厳な香り。東寺のその「風信香」という名のお香は、京都の松栄堂というお香やさんが作っているとわかったので、東京・人形町にある松栄堂のお店に行って聞いてみたら、とても丁寧に対応してくれたのだが、どうやら東寺のそれは東寺でないと買えないらしいと知ってちょっとがっかりしていたら、京都に旅行に行った友達がお土産に買ってきてくれたこともある。 三十三間堂でお香を買ったとき、お守り売場(なんていうんだっけ?)のおばさんが、ものめずらしそうに私の顔を覗き込んでじろじろ見たのを覚えている。あれはちょっと嫌な気分だったな。お香買ったって、いいじゃん。 でも、ま、いっか。 好きなお香焚いて椅子の上で膝丸めて本を読んでいるときって、とても幸せだ。 ろくにおばあちゃん孝行してないうちに亡くなってしまったから、せめてお香で我慢してくれ、とも思っている(笑)。
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