あたろーの日記
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2003年02月22日(土) チョコレート・・・It's only love

 「チョコレート」(マーク・フォスター監督、ハル・ベリー/ビリー・ボブ・ソーントン主演)のDVDを観ました。
 昨年公開された時に映画館で観ておけばよかったなあと思うくらい、良かったです。好きな映画がまた1つ増えました。
 
 たぶん観てない方も多いかと思うので、ストーリーは詳しく書きません。。
 映画は余計な描写や説明は一切ありません。登場人物が雄弁に語ることもない。淡々と静かに物語は進行していきます。
 互いの肉親を失った悲劇を癒すようにして、人種差別主義者の元刑務官ハンクと、ハンクが死刑を執行した死刑囚の妻レティシアが近づいていきます。肌の色も、年齢も、互いの立場も超えて、ただそこに必要なものは愛だけだということに気づいて、それを噛みしめる二人に強い共感を覚えます。
 邦題にもなっているチョコレート。チョコレートのアイスクリームが暗示的。ビターで甘くて冷たくてすっと溶けて、いろんな味を持っている。仕事に対する愛情しか知らないハンクが、1人でしみじみ味わいたいのはそのチョコレートアイスクリーム。ハンクの人生に足りないものは、チョコレートアイスクリームの味。そしておそらくチョコレートの色はレティシアの肌の色。
 男女間も、親子間も、どんな間柄でも、愛がすべて。静かに流れていくストーリーの中で、二人は愛を見出して再生していきます。
 
 観終わってから、シンプリー・レッドの「A New Frame」というアルバムを聴いています。1曲めの「It's only love」リピートにして。

 人が生きていく上で一番大切で欠くことのできないもの。
 それが存在しないのなら、他の現象はすべてみな幻想でしかなくなってしまうもの。
 そしてたぶん、私が生きていく理由。
 それが、愛、なんだろうと思います。
 
 あまりにも簡単に語られすぎて、あまりにもいろんな形がありすぎて、あまりにも当たり前なために真剣に考えることから遠ざけられているけれど。
 あらたまって口にするのも恥ずかしいような言葉だけれども。
 
 愛にもいろいろあって、男女間の愛もあれば親子の愛もあるし、飼っている犬や猫に対する愛もある。気の合う友人同士や職場の仲間に対する愛情もある。自分と直接かかわり、自分を豊かな気持ちにさせてくれる相手を愛するのはたやすいこと。
 けれど、この世の中に存在するものすべてに対して愛情を持つことは難しい。
 生きとし生けるもの、この世に生を受けたすべてのもの、愛を必要としている生きものすべてに愛を感じることは、とても難しい。
 いきなりスケールの違う話題になってしまってすみません。
 でも、最近、「愛」って実のところいったいなんなんだろうって考えてます。
 愛って見返りを期待するものではないし、相手を縛り付ける道具でもない。出し惜しみするものでもない。どこかで誰かを愛して、どこかで他の人を憎むのなら、それはエゴなだけだと思うし。。
 だったら、愛は、対象を選ばずすべての存在に注ぐべきものではないか、と、思ってしまうのです。。
 人間が生きていく上での共通の糧はただひとつ、愛ではないかとも思うのです。
 
 エラソーなこと書いてますが、実際私は自分の幸せに一番興味があるし、エゴの塊です。自分に愛を注いでくれる人達に愛情を返したり、それ以上に自分を愛することで精一杯。他に余裕はありません。
 だけど、泣いたり笑ったり怒ったり悲しんだりして生きてきた30余年の人生で少しずつ分かってきたことは、生きている喜びを感じるためには、生きとし生ける存在すべてに対して愛情を抱くことが一番近道なんじゃないかということです。
 話が少し飛躍しすぎかもしれないですね。
 うーん、なんて言ったら誤解しないでもらえるかなあ。。。
 
 例えば、何かつらいことがあったときでも、ふと目の前に咲いている小さな梅の花がいとおしく思えてきて、見ている自分まで梅の花の香りに生命の息吹を感じとることができる瞬間。
 自分以外にも精一杯生きている存在があるということに素直に喜びを感じることができる瞬間。
 
 愛というのは、もしかしたら、この世に存在するあらゆるものを尊重することなのかもしれません。
 
 今の私にはとっても難しい。
 自分の目の前にあることで精一杯だから。
 

 


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