あたろーの日記
DiaryINDEXpastwill


2003年03月11日(火) インコのイン子

 今日はちゃんと新宿までたどり着けました。
 寒かったですけど。。
 空には雲がなくて、空気も澄んでいたような気がしたのですが、いかんせん寒い寒い(@_@;)
 立ち止まると寒さが増すので、とにかく歩き続けましたです。。

 帷子川のタマちゃん問題。
 タマちゃんを北の海へ返してあげようとする動物保護団体と、あくまでタマちゃんの意思を尊重してあまり刺激しないようにそっとしておこうという人達との間で、タマちゃんが揺れ動いてますね。
 どっちがいいんだろう。。
 どっちもタマちゃんに対して愛情があって言ってることだから、双方の言い分ももっともだと思うんだけど。。
 
 小学6年の卒業式を前にして、当時クラスで飼っていたインコのイン子ちゃんを卒業にあたってどうするか、道徳の時間を何時間も使ってみんなで話し合ったことがあったなあ。。
 ずっと鳥かごで育ってきたのに、今更外に放してもちゃんと生きていけないから、誰かが自宅に連れ帰って世話をするべきだ、という意見と、このまま一生鳥かごの中に閉じ込めておくのは可哀相だし、みんな卒業してクラスはなくなるんだから、これを機に自然の中に羽ばたかせてあげようって意見で、クラスは真っ二つに分かれて、先生が「とことん話し合いなさい」と時間を沢山くれた。
 みんなくたくたになるまで話し合って、最終的に鳥かごから出してあげることになった。
 卒業式の日、式を終えてみんな教室に戻ってきて、窓際に集まってイン子の鳥かごを開けて、旅立つのを見守った。
 まだ寒い3月。イン子はなかなか鳥かごから出ようとしない。入り口が開け放たれたのに、それがどういうことか分かってないみたいだった。
 やっぱり放すのはやめようよ、と誰かが言ったとき、イン子は窓枠にちょこんと乗って、それから勢いよくぴょーんと青空に羽ばたいていった。
 みんなが窓から見守っている中、イン子は近くの木の中に落下して、一瞬ヒヤッとさせたけど、またすぐ、こんどは慎重によろめきながら、あっちこっちの木に移動しつつ、だんだん遠ざかって行った。
 鳥かごの中でずっと過保護に育てられてきたイン子を、いきなり自然の中に飛び込ませることは少々無茶だったかもしれないけど、あのまま小さな鳥かごの中に一生閉じ込めておくのはもっと可哀相な気がした。
 広い空を自由に飛びまわって、食べ物を探して、好きなものを食べて、いろんなものを見て、危ない目にあったり、どきどきしたり、わくわくしたり。。鳥かごの中と、自然の中、どちらが長生きできる場所かは分からないけど、たとえ短い一生でも、自分の意思で自分の人生生きられる喜びをイン子が得られるなら、それが一番いいのじゃないかと思った。それに、もしかしたらパートナーや友達に出会えるかもしれない。羽根があるなら羽根で行ける範囲まで行動できるのがイン子のほんとうの幸せじゃないかなって思った。

 あの日から20年経つけど、3月になるとイン子のこと、必ず思い出します。実を言うと、あの時飛び立たせてあげたのと、かごの中で守ってあげるののどちらが良かったのか、自分でもはっきり結論は出ていません。
 でも、よろよろしながら一生懸命羽ばたこうとするイン子の姿が見えなくなるまで、みんなで「がんばれ」って声援を送っていたあの時間が、青空とまだ芽の吹かない木々の枝と、イン子の黄色い小さな身体が、昨日のことのように頭の中にこびりついています。
 イン子の寿命はとうの昔に尽きているだろうけど、私の中のイン子はまだ生きていて、私はその小鳥にまだ声援を送っている。
 私の中のイン子は、まだ飛ぶのがかなり下手。。
 
 
 


あたろー |HomePage