あたろーの日記
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旧暦10月25日。 書いているのは翌土曜の昼です。 風邪が抜け出て行かなくて、今週はずっとだるい。夕方になると特に頭痛とだるさに悩まされつつ。。。 昨日は残業切り上げて帰ろうと支度しながら、そばの席の上司と雑談しているうちに、テレビドラマの話になり、私がドラマを見ていないと知るや、上司が最近気に入って毎週欠かさず見ている(そのために月曜だけは残業せずに早く帰っている)月曜9時の「のだめカンタービレ」というドラマの登場人物と粗筋を、身振り手振りの演技と共に延々説明してくれた。なにやら面白そうなドラマなのですが、決まった曜日の決まった時間にテレビをつけるという習慣を今の生活に取り込むのは、結構難しい。 教育基本法改正案成立。無能な野党(今の民主党に存在意義なし)。ニッポンの暗い1日。 教育基本法じゃなくて、脅育基本法。具体的には、愛国心というスローガンの元に、統率され、管理され、個性のない子供達を量産する仕組み。愛国心を通知表で評価するようなことはしない、と言われて安心していたら大変なことになる。そのうち、子供達を国家への忠誠心溢れる臣民に育て上げるべく様々なカリキュラムが組まれ、そこにうまく適応できない子供は否応なく仲間外れにされ、非国民のレッテルを貼られる時代が来る。 ノロウィルスも怖いけど、ノロウィルスだの(そもそもなんで今年この時期にこんなに流行ってるのか?)談合事件だのと気を取られているうちに、教育基本法改悪案はあれよあれよと成立してしまった。重要な政策決定や政府に都合の悪い事柄が取りざたされる時は、同時に国民の目を逸らすような出来事が並行して起こり、マスコミの取り上げ方もバランスを欠くのが常套。 自分のことで言えば、私は自分の住んでいる国が好きだし、歴史を知ること、古い時代からの文化も好きだし、それから勿論、嫌いなことも沢山あるし、嫌いなことを沢山知っているということは、裏を返せばそれだけ自分の国(国、国、っていうのは実はあんまり好きでないから、土地?場所?地域?)を愛してるってことなんだと思っている。ここに生まれて生きていてよかったと思う。海外で日本文化の一部が浸透したり認められたりしているのを知ると嬉しいし、誇りに思う。納豆ご飯や味噌汁や日本酒の無い土地では絶対生きていけない。だけど、君が代や日の丸には何の感情も湧かない。実家では今でも祝日には門柱に日の丸を掲げるけど、私はこの先家を持っても日の丸は持たないだろうし、歌詞に共感できないから君が代を歌う気にはとうていなれない。天皇制も、存続してきたから今もあるわけで、まあそれはしゃあないかなとは思うけど、あっちもこっちも人間なのに、ヘンなの、という気がする。皇太子夫妻には人間的に親しみを感じるし好きなんだけど、次男夫妻の顔を見るとなぜだかゾッとする。それと、天皇が女系だろうと男系だろうと、どっちでもいいじゃん、と思う。天皇家だろうが一般人だろうが、人間はセックスで子孫を増やす。誰だってやってることは同じなんだし。・・・と、こんな風に思う私は、きっと、非国民扱いされるんだと思う。政府の考えている「愛国心」の範疇には、上述のような曖昧で中途半端(?)な人間は含まれない。含まれ無いどころか、日の丸君が代天皇家に反応しない点で、完全に非国民とされる。そこが恐ろしい。
『単独密偵』(ロバート・ラドラム/山本光伸訳/新潮文庫)上下巻を読み終える。面白かった。昨夜は帰宅後、早く寝て風邪を早く治さねば、と思ったのに、布団の中で下巻を一気に読んでしまう。もうちょっと読んだら・・と思いつつ、本を閉じることが出来なかった。 『暗殺者』から20年経った作品なので、同じくスパイものではあるけれど、登場する兵器はハイテク最新鋭のもので、ネット社会、管理社会が舞台なので、結構入り込みやすい。けれど、登場人物達の立場が一転二転三転四転する粗筋の複雑さ、登場人物の多さと相関図の見えにくさは、『暗殺者』どころではない。それでも話はスピーディでスケールが大きく(舞台が世界各国に飛ぶ)、主人公の人間的な魅力をしっかり描いてあり、読み手はどんどん引き込まれていく。 物語を貫くテーマの大きなものは、テロや犯罪の脅威とそれに対する社会の防御壁としての、「管理・監視」といった問題。人民を恐ろしい暴力から護るために、人民の生活の全てを監視する社会、それもまた一種のテロ行為ではないか・・・情報化社会の中で管理され、気づいたらがんじがらめ、自由も奪われていた・・・そんな世の中になりつつある、という警告を、ラドラムは図らずも、9.11テロが起こる前にこの作品で発していた。読んでいて、何度も、この『単独密偵』が書かれたのはあのテロの後なんじゃないか、という気にさせられた。それだけこの作家には先のことを見る目があったと言える、と思う。 陰謀、暴力、サスペンスをまき散らしたエンターテインメントでありながら、読後感にはなにか割り切れない深いものを残す。2作目にしてすでに大好きな作家になった。
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