浪漫のカケラもありゃしねえっ!
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| 2003年01月22日(水) |
2003年新レギュレーション考 |
先日発表された新レギュレーションについてコメント書こうかなーと思っていたら、チームとの話し合いにより改革案が練り上げられた模様。 項目別に感じたことなどコメントしていきます。 ●ピットからマシンのテレメトリーは、直ちに廃止 双方向テレメトリーは直ちに廃止。チームが勝手にマシンをいじらずに【ドライバー】の腕で何とかしろってことでしょ。採用されてから日が浅いので、各チーム開発費の傷はまだ浅いか? ●マシンからピットへのテレメトリーは、04年から廃止し、標準データロガーを導入 今季マシンがほぼ完成している状態なので、設計時から組み込まれているデータ収集システムをいきなりはずすことは出来ず、かえって不経済ということらしい。 フェラーリなどのトップチームのデータ収集センサーは数多く、軽量化にかなり力を入れられてたはず。これを元にレースの最後までマシンを壊さない走りもできたし、次戦へのデータ収集やシュミレーションを組み立てるために使われてた。レース中に即時対応は不可能となるから、エンジン壊しやすくなったり、どこが壊れたのかわからないリタイアが多くなるかも。 標準データロガーとの差異が大きいチームほど痛そうだが、そういう上位チームはすでにシュミレーションデータの蓄積がある。3強や彼らに会社の威信を賭けて追いつきたい自動車メーカー系は、テスト専用マシンでのデータ収集というワザに走るやもしれませんにゃあ。 ●チームとドライバー間の無線は、システムが単独でありデータ送信は出来ない物に限られる。FIAおよび放送局にオープンであり、アクセス出来るものとする。グランプリにおいて公にアクセス可能なシステムの可能性も検討 「雨が降って危険だからタイヤ用意」も「前方に大クラッシュあり、留意せよ」も「周回違いだから無駄なバトルするな」も「後ろが燃えてるゾ〜(^^;)」も言えないんじゃ、あまりにもおかしいと思ったんだ。 【無線禁止】という当初の提案は、利益が相反する国同士の外交交渉における最初のハッタリのごとし。(笑) チームオーダーの確認しがたい暗号通信や傍受合戦の禁止と、無線公開放映を呑み込ませることが真の狙いか。 放映およびサーキットでの無線アクセスが出来れば、楽しさ倍増だけどね。最近バーニー達とCART代表との交流が取り沙汰されていたが、予選走行の変更のようにCARTからヒントを得た可能性があるのではないだろうか。 しかしこれ、あらかじめ戦略いく通りも練ってるフェラーリのようなチームだと「プランAからプランBに変更」だとか「ニイタカヤマノボレ」「トラトラトラ!」な暗号ですましてしまいそう。もちろんFIA提出用の無難な暗号コード表も用意の上、オーダーは裏コードで発令したりしてね。(笑) ●サードカーは、レースカーが修復不可能な段階まで損傷した場合に限り、使用を許可。レースカーがスタート直前に走行不能になった場合、ピットレーンからスペアカーでのスタートを許される。赤旗の場合は、最初の2周までであれば、スペアカーが使用できる ●車両は、予選とレースの間はパルクフェルメに保管される。しかし、監視下に置いた上で、チームのガレージに保管することもできる。非常に限定された条件に適合する場合以外の作業には、特別な承認が必要 こいつは、予選スペシャルなマシンの使用を防ぐための項目でしょう。ぎりぎりにTカーでスタートすれば最後尾扱いになるんだし。「非常に限定された条件に適合する場合」ってのは予選中(あるいは直後)のマシン破損などだろうか。エンジンの積み替え等はウォームアップ走行中に出来るんですかいなあ? このあたり「非常に限定された条件に適合する場合以外の作業」にされてしまいそうな気がする。アヤシイ物はともかく排除しちまえ、ってノリに思えますにゃ。 ●トラクション・コントロールとオートマチック・ギヤボックスは、2003年シーズン途中のイギリスGPから廃止 ●ラウンチ・コントロールも、チームがマニュアルクラッチを利用可能になった場合、同時に廃止 禁止するんなら設計段階から考えんと無理じゃ!ってな条項が多い中、このあたりの電子的なドライバースエイドの移行措置のタイムリミットがイギリスGP。シーズン折り返し地点までになんとかしとけってなところでしょうか。新人クン達にとっては、テストでやっと慣れはじめたマシンからの移行がたいへん。(「TCSがあるから大丈夫」なーんてデビッドソン君と松浦君の今月号アズエフ対談で言ってましたな)まあ、電子デバイスのない時代にデビューしてる先輩ドライバー達もマシン変更に順応しなきゃならんのは同じですが。あっ、スタート下手なミハエル様だった。いやーん、またスタートがたいへん。(^^;) ●複数チーム間で共通のコンポーネント使用を許可 強豪チームがコンポーネントを売ったり、自動車メーカー系のコンストラクターがそれぞれのチームに共通のコンポーネントを提供したりする可能性も、あり得るんだろうか? ●04年から全チーム共通のブレーキ・システムの義務化。全チーム共通のリア・ウイングの義務化 マクやフェラーリの特殊ブレーキシステムの禁止騒動など思い出します。抜け穴防止策かな。リアウィングに、ハンドフォードデバイスみたいのを供給されたりしたらどうしましょ?(^^;)ギャップは縮まりましょうが、風洞実験ひんぱんにやってるチーム有利は多少あるでしょうな。(笑) ●04年から自動車メーカーがF1エンジンを供給 「義務化」とはいわんまでも「自動車メーカーによる複数チームへエンジン供給」を奨励する方向か。かつてのスーパーテックやアジアテックみたいなエンジン屋は出て来られなくなりましょう。これ、「ワークス待遇で」と記載された記事も発見。ホンダやコスワースの同スペック2チーム供給のようなカタチを求められてるんだろうか。このあたりがまだはっきりしませんが、そうなると有償エンジン売ってコスト削減を計ってきた自動車メーカーはどうなるのだろか。 ●05年からエンジンは最低2戦の間、交換禁止。主要コンポーネントの耐久年限を延長。この2点に関して罰則規定を設置 ●06年からエンジンは最低6戦の間、交換禁止 BMWが2万回転にあとわずかと迫ったことを誇らしくうたいあげた2002年シーズン、それに刺激されたメーカーの競争激化を恐れたか。 エンジンの【パワー】よりも【ライフ】を重視しろ、となれば、開発の方向は変わりますにゃあ。自動車メーカーや有力チーム達が開発そのものにかけるコストは大してかわらんような気がします。これも一種の技術的挑戦ではありますが、視聴者(ファンだけではなく、成績のみを目にする可能性の高いそれ以外の一般紙読者やニュース視聴者)にわかりやすくパワーを誇りたい自動車メーカーにとっては、あまり美味しくなさそう。
違反について【密告奨励金】(!)までつけちゃって、これがまた大笑い。 密告する関係者がいたとして、場合によっちゃあバレたら吊されますな。守秘義務を雇用契約のうちに入れてる関係者は多かろう。プレスの守秘義務のように、ニュースソースをFIAが守り通せるのか。控訴裁判所に持ち出されたら、証人の名前バレざるをえんのちゃうか?(笑) チーム辞めるついでに最後っ屁かましてくヤツいそうですが、あの額の奨励金なら各チームが狙うような大物はひっかからんやろから、そーいうチクリ前科のある小物を相手に、F1界の再就職先がいい顔するかどうかは疑問。どこのチームもグレイゾーンかいくぐって、どこか後ろぐら〜い部分抱えてるF1界だと、わたしゃ思っておりますから。(^^;)
とりあえず、予選方式変更で下位チームにもスポンサーにアピールできる時間帯はできる。そのうえで、このコスト削減措置。 下位に厚く、有力な自動車メーカーにとっては負担は大して減らず広告で大々的にアピールできるような美味な部分は少ない。これでやる気を失う自動車メーカーも出てくるかもしれない。それが心配です。 レースそのものが面白くなり、注目度を増す変更となれば、それは杞憂に終わるでしょうが。 F1そのものが、大きく変質していく規定変更であるでしょう。我らが帝王の圧倒的な強さがこれを導いちゃったというのには、苦笑い。 というわけで、「その強さをしてF1史をかえさしめたドライバー/チーム」と、シューマッハ/跳ね馬伝説には記されるわけなんですな。(笑)
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