”遊んでいる”と思っていたが、実は遊ばれていたりする。
別れた女とは会わない方が身の為だと思ってはいたが、身体は正直になる。 少し時が過ぎるとそんなことも思わなくなってしまって、 −もしかしたら寄りを戻せるかも− なんて思ってしまう。 まあ、こっちとしては実にラッキーなコトなのかもしれない。 恋人時代とは違う気持ちで身体を重ねることが出来るから。
が、しかし女はそんなこと一つも思っていなかった。 愛情なんか、もう感じることもない。欠片もない。 ただ、無言で訴えていた。 −早く私が貸したお金、返してよ!−
この男、かなりの額を借りていた。おまけに仕事もない。 バイトらしいこともしない。このことが別れの直接の原因ではないが、 引き金だったことは間違いない。 友人にも借金をしている。全てを足してみると10万は軽く越す。 返すアテもない金なのだ。
女は毎夜、この男に身体を預けていた、当然無賃で。 いつしかこの男が自分の思っていることを、心の中を知ってくれると信じて。 愛情はない、ただ身体を。
男は女の手の中で転がされていた。 そんなことも気付く分けない男は今日も女を抱く。 男が眠りにつくと、女は溜息をついて急いで部屋を出る。 「いい加減返してよ!」 と、捨て台詞を吐いて。 当然、男にはその声は聞こえない。 夢の中で違う女を抱いてたり・・・。
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