HERE, NOT SOMEWHERE...Hiroyuki Morikawa

 

 

僕の思い - 2002年09月18日(水)

ハービー・山口という写真家がいる。

この人は大学卒業後に渡英し、パンクムーブメントを実体験。
デビュー前のボーイ・ジョージと共同生活をしていた偶然も加わり、
ロンドンのミュージシャンと交流を重ねる。
現在はヨーロッパと日本を往復し、数多くのアーティストから無名の市井の人々までをモノクロームの作品に収めている。

この人の作品は、自然体な姿を素朴に美しく表現していてると思う。
そんな作品が僕は好きだ。

そしてこのハービー山口さんが写真家になろうと決めた時の出来事が、
これまた大変興味深いものだったのです。

〜中学生の頃はまだ具体的に自分は何をしたいという事は見えていなかった。    
だけど何をするにしても僕は、
「人の豊かな心を表現したい、人っていうのはもっと立派で美しいものなんだ」
ということを表現したいと思っていた。
それから何年かして20歳になった時、
近くでバレーボールをしている少女二人にカメラを向けている時の事。
次の瞬間誤ってバレーボールが自分の所に飛んできて、
僕はぶつかりそうになって思わずそのボールをよけた。
その時彼女たちが見せた僕に対しての表情が、
大変思いやりに満ちていて、
「あー当たらなくてよかった、ごめんなさい」という、
たった2、3秒の間に見せた僕への慈しみや、やさしさ、
そして当たらなかったことへのほっとした感じ、反省の気持ち、謙虚さ、
そうした表情を次々に浮かべ、
その時僕はこれこそが人間の持っている最も美しい表情の姿だと思い、
この表情を一生かけて、
世界をまわり人々の表情の中からこの表情を撮っていこうと心に決めた。〜

こんなお話です。
ここで僕が注目したことは、その2,3秒の間という時間は無意識の時間であったということ。

僕はこのお話を聞いたとき非常にドキドキした。
というのも、普段僕が生きている中で漠然と考えていたことが、
こんなにもきれいな形で表現されていたから。
なにも考えないで適当に生活している人も、いつも不安ばかり抱えて生きている人も、いつもだらだら生活している人も、いつも自分勝手なことをしている人も、
どこかで戦争を始めようとしている人も、etc・・・、
一般的にみてごくごく普通な人も、そしてどんなに軽蔑されるような人にでも、
どこかには必ず豊かな心を持っているのだと思う。
特別な人にだけ豊かな心が与えられているわけではない。

人間というものの中にはどんなに小さいものかもしれないけど、
どこかに本当に豊かな心を持っていて、
人間は皆が考えるているよりも立派で美しい存在なのだと思う。

こういうことを僕の場合は音楽を通してだと思うけど、
表現できたらこんなに素晴らしいことは無いと思う。
最終的には普段僕がよく口にすること、

「こういう世の中だけど少しでも悲しい出来事を減らしていきたい」

ということにつながってくるのだけれど。


すいません、こんなに長い文章読んで下さった方ありがとう(笑)。



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