独白「文字式」

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2002年05月18日(土) 晴れた日の渦(ぽえむばざーる編8)

ぽえざる会場の平安女学院は、
小高い丘の閑静な住宅街のバス停から歩いて数分の所にある。

平安女学院への道中、
「“平成女学園”と間違えたらえらいことだ」と
どなたかがポソッと呟いていた。

こういう言葉の類似と現存イメージのギャップを利用したギャグは、
ややもすると、どっちにたいしても失礼に当たるのではないか、と
いまとなっては考えたりもするのだが、
うららかな日差しの閑静な住宅街で
不意をつかれたように耳に飛び込んでくる“平成女学園”。
笑いでうずくまってしまいそうになった。

それはともかく、
この日は実に良い天気であった。
少し歩いただけでも汗ばむくらいである。

で、頭の中では、ぽえざるについて、
広大な緑の芝生に机を並べて、詩人が集い、本を売りあう。
青空市場のようなものをイメージしていた。
「ああ、よかった。昨日みたいな雨じゃなくって。
本が濡れちゃうよな」なんて考えつつ。

ところが、
平安女学院の正門から入り、人々が向かっているその先は、
(あくまで自然光と比べて)薄暗い学生食堂なのであった。
学生食堂だからうっすらと油の匂いがして、
ガラス窓の向こうの建物の中では、机が乱雑に放置されている。
(たまたまその時はそんなふうに見えただけだったが。)

その狭い入り口に向かって行列を作る詩人たち。

伸びやかな空間の中の「ばざーる」、を
イメージしていた私にとって
なんだか薄暗い一室に連れこまれ、
ぽえむの渦に呑みこまれるような気分がしたのであった。


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