独白「文字式」
INDEX|past|will
2003年09月20日(土) |
消費者運動(天ぷらオフ会編その4) |
(前回までのあらすじ) 夏の終わりの文字式オフ会は、なぜだか「可愛いものツアー」の様相を呈していたのであった。
文字式オフ会一行が次に入ったお店はガラス屋さんであった。店先には、ワゴンに入ったきれいなコップなどが売っていたのだが、ふと目に留まったのは「絶対に漏れない醤油さし。」
なんといっても第1回食品詩倶楽部にて「醤油詩」を募集した私である。その構造に釘付けになってしまった。いったいどうすれば漏れないのだろう。だいたい醤油の小壜を使うと液が垂れてきて壜が汚れるんだけどなあ、と、醤油さしのふたを開けて、醤油を注ぎたす口をじっと眺めていたら、突如、
「あんたそんなとこガチャガチャいじらないでよ!」
と、店のおばちゃん(←当日記にてずっと封印していた言葉をここにて使用する)に叱られたのだ。もし、ほんとにガチャガチャといじっていたら、壜に傷をつけ、密封性に影響を与えかねないため、注意されるのは当然である。しかし、私はただただ見ていただけなのである。「漏れない」という機能を訴えている以上、それをきっちり確認する行為は、消費者としては当然なのではないだろうか。正直、この発言には「かちん」と来た。(この段階で、醤油さしを買う意志がほとんど無かった、ということは棚に上げている。)
で、かちんときた私が、次に取った行為は、なぜだか店の中に入り込むことであった。本来は、さっさとその店を離れたかったのだが、それはなんだか負けのような気がしたのである。加えて、お店の人に「そんなに間違えた行為を行っていない以上、私は消費者(お客さん)です。だから、お店には普通に入らせていただきますよ。」ということを示したい気持ちもあったのかもしれない。(イヤな奴だな。)
お店の中に入ってしげしげとガラスを眺める。すると、なぜだかさっきのおばちゃんが、「醤油さしならここにもあるよ」と声をかけてくるのである。で、それを受けて「外にあった醤油さしとどう違うのですか?」と質問したのだが、帰ってきた答えが「醤油さしなんてそんなに変わらないわよ。」
脱力である。
そんな私の様子などお構いなしに、さらに声を掛けてくるおばちゃん。「お土産に切子はどう?」切子という言葉が耳慣れなかったため、おばちゃんに「切子ってなんですか?」と丁寧に質問をする。当然「これこれこういうもんよ」って説明が帰ってくると思っていたら。「切子は切子、このお店は切子の店なのよっ」っと妙に突っかかった言葉が返ってきたのである。しょうがないから「切子って言葉を聞いたこと無いから、どういう意味なのかなあと思ってお尋ねしたのですよ。」と丁寧に返してあげる。
脱力である。
お客様の問い合わせに対して、丁寧に答える必要がお店にはあると思う。おばちゃんは「切子は江戸時代から続いているガラス細工で、うちの商品は全部切子なのよ」って一言言えば、お客様も「へえ、すげえな、いっちょ買ってみるか」って気になるのではないだろうか。
「絶対この店では買わん」(まあ、店に立ち寄った時から、ガラス細工を買うつもりは無かったのだが)という気持ちを抱きつつ、あくまで、怒りを面に出さず、さらに、できるだけ丁寧な態度・口調を維持しつつ、ひとしきりお店の商品を眺めて、店を後にしたのである。なお、なぜ、私が丁寧さを意地していたのかというと、けんか腰になってしまっては、「お客さん」というイニシアチブを放棄することになるのでは、と思ったからである。相手には隙を見せねえぜ、ということなのだ。(ますますもって嫌なやつだな。)
さて、私が静かにお店で奮闘している間、お二人はとうに外に出ていたのであり、オフ会幹事なのに、お客様二人を待たせてしまう体たらくなのであった。春野さんから「りっとさんってこういう闘い方するのねえ」という言葉をいただきつつ。
(つづく)
|