ハラグロ日誌
書人*ちる

   

  




どうぶつの勘
2001年11月23日(金)
数日前の日記で「ねこえが最近、家にいてくれなくて寂しい」というような事を書いたのだが、それを書いた次の日からねこえが妙にじっと家に居着くようになった。
今も段ボールのベッドの中で、眠りを貪っている。
まさか、ねこえがどこかで密かにこの腹黒い日記を読んでいるとは思えないので、どうも私のココロの機微を読んでいるような気がしてならない。
動物って、そういう不思議な勘があると思わせる。
ドイツにホームステイしていた時の犬もそうだった。彼女は真っ黒なスコッチテリアで、女王e vitaの名を持っている。とても賢く、躾の行き届いた犬である。私は2週間のステイだったのだが、明日帰る、というその日に突然、vitaの姿が見えなくなった。家族と一緒に探して、庭にも家の中にもいないので、何事かと思ったら、私の泊まっていたゲストルームのスーツケースの傍でしゅん、として座っていた。
この躾の厳しい家の中で、ただの一度もvitaはこの部屋に入った事はなかったというのに。その、あまりのしゅん、としてスーツケースの周りを何度も回る様子を見て、流石に誰も彼女を叱る事はできなかった。「彼女、あなたがここを出てしまうって分かっているのね。」としみじみMamaが言っただけだった。
ホームステイで留学生を受け入れたのは初めてという家だったから、vitaにとって、ステイ客との別れというのも初めてだったのだろう。私という家族(と思っていた節がある)が、こんなにも早く自分と離れなければならない、なんて夢にも思わなかったのかもしれない。
その後、ずっとモップのように脱力し、生気を失ったように落ち込むvitaの沈痛な様子は、今でも忘れられない。









設計*しゑ(繊細恋愛詩)
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