ハラグロ日誌
書人*ちる

   

  




悲しき夫婦の崩壊
2002年11月05日(火)
少し前に朝日新聞のコラムで、定年後の夫と妻はどう向き合うか・・・というようなテーマの連載があった。
まあ、よくありがちな話なのかもしれないけれど、仕事人間の夫が定年後、家にいるようになり、急に妻にとって疎ましい存在となる・・・というもの。「お昼ごはんは作りません!」と宣言する妻の話が書かれていたので、ずいぶん極端な話だなあ〜とちょっと呆れつつ読んでいたものだ。
ところが、同じ気持ちの女性がとても多く、すごい反響だった・・・という後日談が今日掲載されていた。(もちろん反論も多数あったそうだ)
ちょうど今定年を迎えている人々は団塊の世代の先駆け・・・くらいの人で、確かに家庭を顧みる余裕のない男性と、専業主婦の家事や育児の鬱憤が溜まりに溜まっていた女性が多かった事だろう。そんな夫婦の行きつく先が「私、お昼ごはん作りません」だとしたら、あまりにも馬鹿げているし、悲しい。
ウチの父親は、50代半ば・・・という年齢になっているが、今の仕事も楽しくて仕方ない上に、定年後にはやりたい事がいっぱいあるらしい。(笑)
とにかく元気で、多趣味な人だ。ウチの父母に限っては、そういう淋しい定年後はなさそうで、安心する。
若い頃から、父は常に自分の信条を持って仕事をしてきた。1度仕事上の抗争で、北海道に左遷された時も、私はコドモながらに「パパは絶対に間違った事はしていないのに、どうして!」と泣いた。知り合いのいない遠い土地に転校する淋しさよりも、その事が悔しかった事をよく覚えている。
それでも、北海道での父の仕事ぶりはすごかった。私もワクワクした。そんな父だったので、母も私も弟もあまり家にいない父ではあったけれど、父の仕事の話はまるで冒険譚さながらであったし、尊敬できる夫であり、父親であり続けた。
そういう父親を持って育ったので、一緒に隊長の仕事を面白がるのが私は好きだ。1日のうち8時間以上の時間を夫が費やしている事に興味がまるでなかったとしたら、その夫婦はどんどんとズレていっても何の不思議もない。
主婦として、日々の家事の中で、できるようになった事、まだ苦手な事、そういうのを夫と分かち合えなくなったら、それは、とてもとても悲しい事だ。
崩壊は、突然、定年後に襲ってくるのではない。
ズレを見過ごして、やり過ごしてきた夫と妻双方が、少しずつ自分達で壊してきた当たり前の結果なのではないだろうか?









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