薔薇園コアラの秘密日記

2003年01月14日(火) 親愛なるニーナへ No.1

親愛なる私のニーナへ

 ある冬の日の遅い午後。私、面白い光景を見たの。
 
 はだかんぼうのカエデの木の枝で、大きなカラスのつがいが仲睦ましく、内緒話をしていたの。
 二羽のカラスの姿格好があまりにも人間くさくって、とあるカップルの生まれ変わりじゃないかな、って思わせるくらい。
 
 そこにはカラス二人だけの世界があって、この私も、木の下を散歩する人も、マンションのやわらかい明かりも、澄んだ冬の空に映る夕焼けも、冬を演出する自然も、ぜーんぶ単なるカラスたちの背景。この地球も小宇宙も、みんなその二羽のカラスを中心に回っているような二人の世界。
 
 私、カラスをぼんやり見ていたらね、あなたの気配を感じたよ。
「感じる心を忘れちゃいけないよ」
私の耳の中にこの短い言葉を残して、あなたはどこかへ消えてしまった。  

 私ね、あのカラスたちのように、あなたと二人だけの世界を築けたらいいのにな・・・って思ったよ。

 また今度、私が感じる心を呼び戻したら、もうちょっと長く私の傍にいてくれる? ねぇ、ニーナ?

 


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祐子 [MAIL]

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