薔薇園コアラの秘密日記

2003年04月25日(金) 「日本文化の紹介」マリオットホテルにて

 毎月月末に、マリオットホテルで、IWG(International Women's Group)のサインアップ・コーヒーモーニングという集いがある。
 そのIWGの月々の催し物のプログラムから、自分が参加したい行事を申し込むために会員が集まり、コーヒーを飲んで適当におしゃべりをして適宜帰っていく。

 その会場の片隅をお借りして、日本人会の婦人方が中心となって、「日本文化の紹介」をした。
 外国人が興味を持つ日本文化の代表的なもの、煎茶・抹茶、折り紙、お習字、着付け、生け花の5つのコーナー。

 簡単に内容を紹介すると、煎茶・抹茶コーナーではお茶の煎れ方、点て方のデモンストレーションを。
 外国人はグリーンティと耳にすることはあっても、実際に正式に入れているところや、茶せんでお抹茶を点てるところを目にする人は少ない。お干菓子の甘さの口直しにお抹茶がおいしいと感じた人も、あの渋みが全く受け付けない人もいたようだ。
 みんなの目の前で飲み干すというのは、その流派のお茶の世界のお話で、海を隔てた国の皆さんは抹茶茶碗片手にお友達と歓談してたりして、誠にヨーロピアンなスタイルでマッチャを楽しんでいたようだ。

 生け花は、古流。持ち寄りの花器にさささっと何気なく生けてあるように見えたけど、それぞれにほーっと唸るように美しい作品であった。

 折り紙は、定番の鶴や籠、ゆりなどの他にも、我々日本人にも高度と思われるような作品を一緒に作っていた人がいたようだ。一般に欧米人は日本人ほど手先が器用ではない。しかし、あのテーブルについていた人々は好奇心旺盛で心からそういうことが好きな人たちだったのだろう。熱中しながらも本当に楽しそうだった。

 お習字コーナーは、自分の名前を漢字の当て字に置き換えて、書いて差し上げるというサービス。家族全員分の名前を書いて欲しいという人もいて、大盛況。半紙も模様のある素敵な和紙を用意してあり額縁に入れればちょっとした壁飾りになる。何人かに「誰もがこんなに上手に書けるのか?」と聞かれた。いやいやいや・・・書けることは書けても上手に書けるわけではないのですよ。

 着付けは、まず、私が自前の訪問着を着付けしてもらうところをデモンストレーションし、そのあと、用意してあった別の三着の着物を希望者に順番に着付けした。皆さん喜んで着物に袖を通し、鏡を見てご満悦。のっぺり顔の日本人よりも、堀の深い欧米人のほうが着物の色が映えて見えるものなんだなと思った。着物を着た方々誰もが、そのままなかなか脱ごうとはしなかった。よほど嬉しかったのだろう。

 上田大使夫人も見え、この大盛況を大変お喜びの様子であった。何人もの知人たちから「すばらしい企画だ」と声をかけてもらい、自国の文化をこんなにも喜んで頂けて、私も日本人として素直に嬉しかった。 

 その後の打ち上げで、今回のコーディネート役の日本人会会長夫人の渡辺さんが、「皆さんのすばらしい組織力に本当に驚いた」とおっしゃっていた。勿論、渡辺さんの陰ながらのご尽力あっての大成功なのだけれど、前回、私が携わったIWGのチャリティーバザーにしろ、今回のコーヒーモーニングにしろ、みんながボランティアとして、本当に協力的に快くいろんなことを引き受けてくださるので、この小さな日本人社会の結束力のすばらしさを、今回改めて実感した。

 快くことが運んだ後は、こちらの心も爽快なものだ。
 今回もいい経験をさせてもらった。

 * * * * * * * * * 

 それにしても、普段お付き合いしている皆さんが、意外と芸達者なので驚いてしまった。着付け、お習字、お茶、生け花。どれをとっても心得がないとできないことばかり。できる人はなんでも一通りできるみたいだ。花嫁修業としてされたのかもしれない。

 当の私、物品などのハード面ではかなりのものを提供させていただいたけど、文化伝授のなどのソフト面ではからっきしの役立たずだった。

 実家の母に電話でそのことを報告したら、「若いときに遊んでばかりいて、そのまま海外に行ってしまったから・・・」などとそのまましゃべらせるととんでもない方向に行き着いて、かつての素行をこってりお説教されそうだったから、早々に電話を切った。

 日本でも、子育てが落ち着く私たちぐらいの年台になってから、趣味で日本の伝統芸能のお稽古事を極めていく人がいるけど、なんといっても、ここは海外だから、そんなお教室なんかないしなぁ。
 
 ただ、日本にいては気付かない「和の良さ」というものが海外にいるからこそわかることもあるんだよ。そういう眼をここにいながらにして養っていこうと思う。
 


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祐子 [MAIL]

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