先程、子供たちを学校に送り出した。 家の前の道路には、昨夜降っていた雨で大きな水溜りができている。 少し強い風が、水溜りの水面を細かくさざなみ立たせていた。
清二は、車に乗り込むのも忘れて、風に流されていく小さなさざなみをじっと見ていた。小さい後姿は好奇心と感性が炸裂しているようだった。 「うわー、○○○○みたーい!」 と言ったのと、私が 「早く車に乗りなさーい!」 が同時だったので、清二が○○○○と言ったのは、残念ながら聞き取れなかった。 きっとおもしろいことを思いついていたに違いない。
清二は今まで感性を言葉であまり表現しない子だった。 何か感じることがあっても、幼年期を外国語の環境で育ったので、思うように母国語で表現できなかったのかも知れないし、お兄ちゃんの理人が次々かわったことを発見するので、それを見ているだけで満足していてのかもしれない。
最近、図書室で借りてくる絵本の傾向をみると、清二は今、何かを感じることを楽しむようになったんだとわかる。
こういう感性、大切にしてあげないといけないな・・・と慌てて車に飛び乗った我が子の姿を見て、母はしみじみ思った。
|