脳内世界

私が捉えた真実、感じた真実などを綴った処です。
時に似非自然科学風味に、時にソフト哲学風味に。
その時その瞬間、私の中で、それは真実でした。


※下の方の○年○月っていうのをクリックすると、ひと月ぶんはまとめ読みする事ができます



 むしろ、ここの事は忘れるんだよ

PICUでは、子供の泣き声やわめく声が色々聞こえていた。

ここCCUは、ほぼ各種モニター音とアラーム音、そして医療従事者のボソボソとした声、面会の人の静かな声しかしない。
ほとんどの児が筋弛緩剤を使われ、気管挿管管理されているからだ。
あまり意識レベルが上がると、バイタルが乱れて循環にも悪影響を及ぼすから、抜管しても薬剤で寝かされていることが多い。

チラと、心臓カテーテル検査のために一時的にこのCCUに、せまいストレッチャーの上に乗ってる大人や子供に目を走らせる。
CCUは、建物が古いために何か暗くてぼろっちい印象がある。そして、陰気なまでに静かである。口から何かを食べたり飲んだりする子も、ほとんどいない。
そうなったら、下(PICUや一般病棟)へ移るからだ。


いちゃいけないな。
こんなところに、長くいるもんじゃない。患者さんも。

はやく、自分の力で息をして、
自分の力でご飯やミルクを飲んで、
自分の力でうんことかを出して、
自分の力でお母さんにいっぱい甘えなさい。
夜もちゃんと、はやくお母さんといっしょに寝れるようになろうね。
はやく、おうちに帰りなさい。家族のもとへ戻ってあげなさい。

私たちは全力で、子どもたちをここから出してあげなければいけない。
出せる状態にしなければ、いけないのだ。

そしてまた、死んだように眠る子を受け入れる。
でも決して死んでいるわけじゃない。
この子たちは、いずれ自分の力でバタバタしたり、座ったり、走ったりするようになる子たちなのだ。そうして皆退院していく。
このラインの先に、その姿があるのだ。
たとえ今、とても想像できなくても、
そのために今この子たちは、ここに居るのだ。

ここであった痛いことや怖いこと、
寂しいことやつらいこと、
ぜんぶ忘れるくらい、元気になるんだよ。



2010年08月15日(日)
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