2011年07月01日(金)  愛人。
 
中国では妻のことを「愛人」と書くと職場の中国人のスタッフから聞いてえらく感動した。愛する人と書いて愛人。言うも愚かな当然のことなのに、なぜ日本語は不倫相手にこの言葉をつけたのだろう。眼前の愛に気付かぬ者が、おざなりの艶事に酔い痴れて真実の恋だの愛だのと錯覚し、我に返っても眼前の愛はすでに衰滅。やはりここには真実の愛などなかったなどと曲解し、次なる喜劇を探究する様は蓋し滑稽である。理想ばかり掲げ何処に邁進するのだ。周到な弁明は何処に帰依するのだ。中国では妻のことを「愛人」と書く。では夫のことを何と読むのですかと訊ねたら、やはり「愛人」と呼ぶらしい。美しい言葉に心を打たれた。
 

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