Spilt Pieces
2002年05月20日(月)  心理学
私は、心理学を勉強している。
理由は、特にない。
嘘。


高校生だった頃、進路について考えた。
ある日あることに気がついて愕然とした。
自分には、大学でやりたいことが何もなかった。
将来やりたい仕事はあったが、それは大学卒を条件とはしていながらも、「学部特に指定なし」という分野の職業だった。


どこの学部でもよいなら自分のやりたいことをしようと考えた。
しかし、毎日のように考えて出た答えは、「何もない」
周りの友人たちを見ていて感じたのはただ、「悲しい」
進路ではなく自分について考え始めるようになった。
「自分がこれまで何を考えて生きてきたのか」
「自分はこれから先どのようにして生きていきたいのか」
「今考えなければならないことは何なのか」


結局、大学受験までに結論を暫定的にでも出さなければならないというタイム・リミットに迫られながら考えて出た答えは、「自分について考えたい」
安易な発想かもしれないが、私は心理学を専攻しようと考えた。
しかし大学受験をして、合格を得て、周囲に祝福されながらも私は悲しかった。
自分について、という内面の問題から抜け出したいと思っていたから。


大学に入ってすぐ、教授が言った言葉を非常に強く覚えている。
「心理学をやろうという人は、例えばカウンセラーになりたいという人の場合、誰かを救いたいという願望をもつ人よりも自分を救いたいから、という動機を持っている人の方が多いと思います。
しかし言っておきますが、心理学は理系的な学問です。
心理学を学んだからといって、他人の心や自分の心が分かるようになるのであれば、誰も苦労しないでしょう。
がっかりした方もいらっしゃると思いますが」


大学に入った後だった。
何か他の目的を探そうと、入学直後思うこととなった。
目的の後づけ。
考えた結果出た結論は、自分にとって本当に興味があったのは人間の心についてだということだった。
きっかけは、自分に関する悩み。
自分の枠から出られないゆえに発生したものだった。
しかし、いくら他の学部の講義を受講しても、私にとって一番興味深いのは常に心理学だった。


きっかけがどうであれ、本当に興味を持てるものを学ぶことができる自分は幸福だろう。
しかし私は将来もこの学問をしようという気はない。
私は人間に興味がある。
学問として学ぶのもいいが、多くの人と出会い、話をしたい。


自分が、本当は人間のことが好きなのだと気づかせてくれた心理学。
社会に出るまでは少なくとも、学んでいきたいと思っている。
ただかじる程度なら、中途半端なのは分かっているつもりだ。
それでも、私は夢を叶えたい。


たくさんの人と出会うことは、たくさんの痛みを伴うだろう。
それでもいい、とさえ思える近頃の自分。
このような自分が心理学を学んでいることがいいのか悪いのかは知らない。
ただ、それでもいいのではないかと、このようなときばかり「人それぞれ」という言葉を使いたがる自分。
珍しいことに、あまり嫌いじゃない。
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