Spilt Pieces
2002年07月09日(火)  愛と経験
介護体験二日目。
デイケアサービスの方での体験。
送り迎えにも一緒に行った。


三十歳を過ぎた娘の介護をし続ける高齢のお母さんが見送り、出迎えをした。
その娘さんは、話すことも歩くことも手を使うこともない。
一日中座っていて、ずっとよだれが出ていた。
私が別の女性をお風呂で洗っていたとき、隣で職員さんがその人を洗っていた。
何も会話はなかった。


お母さんは、娘さんを愛しているようにみえた。
私がただの学生だと分かっていても、笑顔で「よろしくお願いします」と言った。
とても素敵な笑顔だった。


住んでいるところはカーテンで仕切られた暗い部屋だった。
そして、どう表現したらいいのかわからないけど、長屋のようなところだった。
母子家庭で母が高齢、娘は障害を持っている、そんな家庭だった。
私の心に深く焼きついたのは、そのお母さんが娘を深く愛しているという光景だった。
正直、私には抵抗感があった。
何を話していいのかも分からなかった。
それでも、お母さんの笑顔が印象的だった。
だから笑って声をかけた。
そういうことを、頑張らないとできない自分は人間的に駄目な奴だと思うけれど。


英会話に行った。
先生は、英語が難しいという私に笑って英語で言った。
「私も日本語を勉強していますが、難しいと思います。あなた方が英語を学ぶのにおいて大変だという気持ち、よく分かります」


私もいつか子どもを持ったなら、今日のお母さんの愛情が本当の意味で分かる日がくるのだろうか。
今はまだ、「よく分かります」とは言えないのだと思う。


いつのまにやら偏見を持って見てしまっていた自分が恥ずかしくなった。
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