Spilt Pieces
2002年08月02日(金)  富士山・2
山頂では、普段コンビニで150円のペットボトルが500円だった。
味噌汁一杯600円。
途中、具合の悪い友達を休ませたいと入った休憩所では、泊りのみと言われて一人5000円だった。
「観光地だねぇ」
友達が、うんざりしたように言った。
私たちは、疲れた顔をしながら休憩所を立ち去った。


山頂に最初に着いた友達と私は、写真をとったりしながら休みを取っていた。
すると、具合の悪い彼氏の面倒を見ていた友達が一人登ってきた。
「彼はどうしたの?」
と聞くと、途中でトイレに行きたくなったのでとりあえず駆け上ってきたのだと言って、彼女は私が足が上がらなくて必死で登った山を軽々と降りていった。


八時過ぎに全員揃って、十時まで休憩になった。
眠ったり御飯を食べたりしながら、降りるための体力を温存した。
降りは、ただもう足の先が痛かった。
あんなに大変だった登り。
なのに、降りるのはこんなに早いのか。
膝と足の親指に痛みを感じながら、山の斜面と雲と、かわっていく山の風景をしばしば眺め、どんどん山を下っていった。


途中、雷が鳴った。
雨が疲れた私たちの身体を冷やした。
休憩しながらのんびりと下山していたはずが、いつの間にか足を止めている暇のないほどになっていた。
山の天気は変わりやすいというが本当だった。
「涼しくて気持ちいい」天気が、「怖くて寒い」天気へと早変わりした。
途中、登っていく人たちの出遭った。
この荒れた山に登るのかと思うと怖かったが、とりあえず私たちはあの穏やかな星のきれいな夜に登れたのは幸運だったみたいだ。


五合目まで急いで降りたものの、全員ぐちょ濡れ。
キャンプ場まで急いでシャワーを浴びた。
その間に、別の友達は濡れた体のままで夕食の買い物に行ってくれていた。
私の友達には、自己中心とは対極に位置するような人が多い。
そして私は自己中心的な人間。
いい友達がいるのは幸せなことだと思いつつ、自分の醜さをこれほどまでに浮き彫りにされるのはそれはそれで辛い。
だから私はしばしば友達と一緒にいるだけで心が痛むのだろうか。
ともあれ、私の周囲における「自己中」定義のボーダーはあまりに低い。


話が反れた。
友達が買い物に行っている間に風呂に入り、薪を割って火を起こし、米を研ぎ、飯盒で米を炊き始めた。
買い物班が戻ってきてから、野菜を切ったり飲み物を冷やしたりした。
私はバーベキューの中で、酒に飲まれた。
「酒は飲んでも飲まれるな」
よく言ったものだ。
そのとき私は、なぜだか酒をがばがば飲んだ。
気分悪いと思いながら、いつの間にか眠っていた。
全員、いつ寝たのか分からないほどすぐに寝ていた。
疲れのせいだったんだろうか。
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