Spilt Pieces
2006年09月20日(水) 
大丈夫、と思った。
妙に冷静でいられる。
前のように、電話がなくて泣いたりしない。
返信にがっかりしても、苦しくない。
こんな状態で付き合っても、今度は彼を苦しめるだけで。
だから、やっぱり断ろうかな、と思った。
だけどそこはあの人のこと。
いつも、ものすごいタイミングで電話が来る。
「落ち着いた」はずの気持ちは、早くもザワザワ。
わざとらしくない殺し文句は、反則。
そんなに、自然な声で、言わないで。
もっと遊んでいる人のように、軽い口調で言ってくれたらいいのに。
そうしたら、私だってそうやって答えるのに。
切なそうで、寂しそうで、
会えるのを本当に楽しみにしている感じ、
前はなかったじゃない。
それは全部、私の思いだった。
はずなのに。


正直に、言った。
キープしているみたいだとか、利用しているみたいだとか。
返事できていないのに、毎日電話やメールをしているだなんて、
我ながらとてもとても、
ずるいと思う。
彼が期待してしまうのは、無理もない。
もし断ったとき、彼をさらに傷つけるのは、目に見えている。
それでも、彼は言う。
そうは思わない、
別れた後長い時間があったのは事実だし、
結論でなくても仕方のないことで、
どんな結果であっても待っているから、
もし駄目と言われても、当分は諦めないから、
…そんなことを、言われても、
どうしたらいいのか、分からないよ。


どこが好きなのか、いまいち分からない。
だけど、彼の前なら、素直な自分でいられる。
甘えたがりの私も、寂しがり屋の私も。
強がりばかりの自分を全部脱いで、
「寂しい」って、声で表現できる。
とりあえず今いい人がいないから元カノなんじゃないかと言ったけど、
絶対にそんなことはない、って、力強く言ってくれた。
「だったら、もっと近くにいる人探すよ。寂しいのは、嫌いなんだ」
私、たぶん、付き合うと決めた瞬間から重くなると思う。
でも、彼は、今度はきっと俺の方が重くなるから、って、笑ってた。
恋愛なんて、惚れた方が負けなんだよ、
…じゃあ、前は、そんなに好きじゃなかったんだろうな。
私一人で盛り上がってたの?なんか、ばかみたい。
だって、あまりにも態度が違うじゃない。
嬉しいけれど、寂しいよ。
昔の私が、かわいそう。
そんなこと、今さら言ってもどうにもならないって、分かってるけど。


あの人は、ばか。
だと、思う。
私が強がる性格だと知っていても、なかなか言葉の裏を読んでくれない。
そして彼自身は、全く言葉の裏に意味をもたせない。
基本的に人の言葉の裏を読みながら対応してしまう私には、
逆に、裏のない彼と付き合っていくのは、結構難しい。
本当に言葉を言葉通り受け取るということに、慣れていないから。
言葉を言葉通り受け取ってもらえるということにも、慣れていない。
だから新鮮なのかもしれないけれど。
真っ直ぐすぎて、素直すぎて、全く、分からないんだ。
私が、ひねくれすぎているんだろうか。
「きちんと言葉に出して、言ってくれ」って、言っていた。
俺はばかだから、分かってあげられないかもしれないから、って。
言葉がなくても、微妙な表情や声のトーンで、理解してほしいのに。
でも、言いたいことを言えるのは、楽なんだろうか。
それとも、無粋?


彼が、彼にできる範囲で努力しようとしてくれていること、分かる。
だけど私、努力ではどうにもならない、フィーリングの違いも感じている。
基本的な、目に見えない感覚の違い。
彼が私を愛してくれている、その気持ちを、すごく嬉しいと思うし、
いとおしいと思う。
彼を、大切にできる自信もある。
でも、もし、そんな彼の気持ちがまた、冷めてしまったら?
私、それでも彼を愛し続けていられるんだろうか。
まさに前回の私たちの立場逆転状態で、彼を傷つけて別れてしまう。
怖いんだ。
もう、失いたくない。
恋愛なんて、傷ついて当たり前だと思うけれど。


彼は、本当に、私にとって一番なの?
ただ愛されていることが心地いいのかな。
ありのままの私を見て、
泣いている私もばかな私も、
寂しくて束縛してしまう私も。
全部知っているのに、求めてくれるから?
もうこんなに必要としてくれる人に出会える自信がないから?
新しい恋愛を始めるのが面倒なのかもしれない。
初めて付き合った人だから忘れられないのかもしれない。
私の恋愛パターンはきっと、彼に影響を受けている。
他の付き合い方を、知らない。
それとも…私も、怖くて認めたくないだけで、
彼に、惹かれているのかもしれない。
その前向きさや、明るさや、真っ直ぐさや、単純なところや。
私には、ないものだから。
…時折、眩しくて、目を開けていられないくらい。


寂しくない恋をしたい。
苦しくない恋をしたい。
でも、そんなの無理だって、分かっている。
思い込むとまっしぐら、
そんな自分が、珍しく立ち止まって考えている。
冷静に・根気よく、考えなさい、って、言われた。
でも、結構いっぱいいっぱい。
会うのは、来週。
今から胸がおさまらなくて、
昨日も、彼の声を聞いてから眠りに落ちたせいか、
彼が夢に出てきた。
ぎゅうっと、抱きしめられる夢だった。
とてもいとおしそうに、付き合って間もない頃のように、
優しいキスをたくさんくれる夢。
起きたとき、妙に恥ずかしくて、
親の顔を見られなかった。
欲求不満、なんだろうか。
私も、彼に会いたいのかな。
よく、分からないや。
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